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特集 (1)知りたくなる!「心理スリラー劇」の醍醐味

2014年7月16日更新
写真:ミュージカル「ブラック メリーポピンズ」から=撮影・難波亮 ミュージカル「ブラック メリーポピンズ」から=撮影・難波亮

 次男のヘルマン(上山竜司)は事件以来、自暴自棄になっているようなところがあり、何をやってもうまくいかない。かつて大好きだった絵も、今はすっかり描く気が失せている。

 4兄妹の中で唯一女性であるアンナ(音月桂)は、かつては快活で気が強くて、男兄弟たちを全員尻に敷いてしまうような女の子だった。それが今では無口で無表情、いつも何かを恐れているようなオドオドとした女性に変わり果てている。

 末っ子のヨナス(良知真次)に至っては、心の病に冒されており、爆発する感情を自分でコントロールできなくなっている。施設で暮らしていたのを、ハンスが連れ出して来たのだ。

 いったい何が、兄妹たちをこれほどまでに変えてしまったのか? ヘルマンもアンナもヨナスも、最初はハンスの呼びかけに対して後ろ向きだ。だが、「たとえあなた方が知りたくなくても、私たちは知りたい!」途中から観客の側がそんな気分にさせられるのが、「心理スリラー劇」の醍醐味か。

 舞台は三方が白いカーテンで囲まれている、閉ざされた空間だ。背後にはドア。外界との出入りがあるのは、このドアが開閉するときだけだ。舞台の中央に、ソファがひとつ。周囲には椅子が何脚か。シンプルな舞台装置の中で、4人の子ども時代の回想シーンを折り込みながら、物語は進んでいく。

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