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特集 (2)気迫で優勝旗をもぎ取った星組・柚希礼音

2014年10月23日更新

 後半の大詰め、各競技の中でも5組がとくに勝負をかけて挑む「綱引き」のときにドラマは起こった。

 綱引きはトーナメントで、「花組・星組の勝者vs.雪組」の勝者と「月組vs.宙組」の勝者が決勝戦で対決する。

 初戦は花組対星組。中間発表時には4位とふるわず、勝負の厳しさを痛感したというトップスター明日海りおが「でも、我々にはまだ綱引きがありますから!」と宣言した競技だ。聞けば、花組は自衛隊の方の協力まで仰いで練習してきたという。

 かたや星組も当然準備でも負けてはおらず、綱引きの専門家のアドバイスを受け、さらに相撲取りにも稽古をつけてもらったらしい。

 勝負はあっという間で花組勝利。ところが、勝敗が決した後の星組メンバーがその場を動かない。トップスターの柚希はじめ、皆が結果に納得できないようなのだ。どうやら、床に敷かれていたリノリウムのマットが、勢いで花組側にずれてしまったということらしい。

 結局、柚希らの「物言い」が認められ、リノリウムマットがずれないように補強された後に再試合ということに。結果、今度は星組が勝ち、さらに宙組も破って1位へ。いっぽうの花組はこの1敗のみで5位が決定してしまった。

 この勢いで、星組は見事優勝した。新障害物競走「ドン・ガン・ジャン・ヒーローズ!!」でも組対抗リレーでも1位を取った月組が宙組を抑えて2位に急浮上したが、その猛烈な追い上げも星組には及ばなかった。綱引き5位の痛手を引きずった花組は総合得点でも最下位という結果に終わった。いっぽう綱引きではがんばったもののリレーでバトンを落とすというアクシデントに見舞われた雪組は4位だった。

 この一連の末(てんまつ)に対しては、賛否両論もあるだろう。だが、私は「綱引き」初戦での柚希の鬼気迫る姿をみて「これこそが勝ちに行く」ということなのだ、と痛感した。なぜなら、あの一瞬の強気がなければ、星組の優勝はなかったのだから。

 100周年を支える中心的存在として活躍し、来年の退団を発表している星組トップスター柚希礼音、「そんな彼女に、はなむけの優勝旗を」という思いは多くの人の胸にあったことだろう。実際、星組応援団の面々はどの組よりもアツかった。だが、そんなこととはまったく関係ないところで、柚希は自らの努力と気迫で勝利をもぎ取ったのだと思った。優勝旗は文句なく彼女のものだ。

 トップスター明日海りお他、花組の面々の気持ちやいかばかりかと思う。だが、来年卒業する柚希と違って、明日海にはこれからがある。「エリザベート」東京公演初日の舞台あいさつで「花組を応援してくださったファンの皆様へのおわびは、毎日の舞台でコツコツとお返ししたいと思います」と述べた明日海。今回の苦い経験が何かしらの糧となって、さらに力強いトップスターとして101年以降の宝塚を支えて欲しいと願ってやまない。

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