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特集 (1)真っすぐな心で皆を照らす太陽のような和田の迅助

2014年10月30日更新
写真:「駆けぬける風のように」公演から=撮影・引地信彦 「駆けぬける風のように」公演から=撮影・引地信彦

 慶応3年(1867年)10月、15代将軍・徳川慶喜は朝廷に対し、大政奉還を申し出た。これを知った新選組は倒幕を阻止するため、陰で大政奉還を画策した土佐藩士・坂本龍馬(岡田達也)、そして陸援隊隊長の中岡慎太郎(山田悠介)を捕らえようと行方を探し始める。陸援隊に潜入させた間者より情報を得た新選組隊士で、剣術も学問もまるでダメだが足だけは速い立川迅助(和田)、小金井兵庫(加治将樹)、一番隊隊長の沖田総司(陳内将)は、二人が潜伏する場所へと向かった。

 だが、そこに現れた陸援隊隊士たちと斬り合った迅助は、喀血(かっけつ)した沖田を助けようとして不覚を取り、背中を斬られてしまう。もはやこれまで。そう思った迅助の前に坂本龍馬が現れた。一年前、迅助はある事件で坂本と知り合っていた。坂本のとりなしによって迅助たちは窮地を脱する。だが、屯所に帰った迅助は、新選組副隊長の土方歳三(遠藤雄弥)に切腹を命じられる。背中を斬られた隊士は士道不覚悟により切腹しなければならないのだ。「ただし、十日以内に下手人を斬れば、罪を免じる」と土方は申し渡した。

 迅助は坂本に会い、下手人の居場所を教えてくれと頼む。しかし、坂本はそれを断り、逆に新選組を捨てて、自分の仲間になれと誘う。坂本の言葉に、迅助の心は揺れる……。

 新選組は多くの物語に取り上げられている。様々な物語で主役に描かれる個性的で魅力的な実在したキャラクターたちの中に、実在しない迅助という役がとてもリアルに存在しているのが面白い。どの役よりも地に足が着いていて、とても人間くさい。現代の人間と何も変わらず、人生に一生懸命に向き合いながらも迷い、友を思う。とてもいいヤツだ。和田が演じる迅助は、愛嬌(あいきょう)があって、優しくて、笑顔が印象的。新選組の仲間からも、龍馬からも慕われる迅助を実に魅力的に演じている。下っ端でありながらも、真っすぐな心で皆を照らす太陽のような、人間のあるべき姿を見せてくれる。

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