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特集 (3)ガラコンサート、男役はこんなに大変だったのか!

2014年11月28日更新
写真:一路真輝=撮影・岩村美佳 一路真輝=撮影・岩村美佳

──今年といえばお聞きしておきたいのが「宝塚100周年」。それもいよいよ終わろうとしている今、一路さんにとってはどんな一年でしたか?

 一番大きな「記念式典」と「夢の祭典」の両方に参加することができて、青山劇場のOGだけのコンサートにも出演させていただけたので、100周年という節目を肌で感じることができましたね。しかも偶然にも、この100周年という年が、私の芸歴の中でも忘れられないくらいたくさんの新しい役に挑戦する年と重なったということも、何かの縁かなと思ってしまいます。個人的にはそれもすごく大きなイベントだったというか……ですね(笑)。

──ちょうどまさに今、東京宝塚劇場では「エリザベート」も上演中です。

 ああ、そうですね!

──私も初演を拝見させていただいたのですが、やっぱり今でも「エリザベート」を見るとどうしても初演を思い出してしまいます。一路さんにとっても特別な作品なのかなあと思うのですが……。

 そうですね。とても大きな財産を宝塚からいただいたと思います。それに東宝版「エリザベート」の初演もやらせていただけましたので、偶然にせよ、日本での最初の演者と言っていただけるのは、とても光栄なことですね。

──じつはそのときから20年近く経とうとしています。

 ねーー! びっくりですねー。

──その間、一路さんご自身にもいろんな変化がありましたし、客席で見ている側もそうだと思うんですけれども、そういう「20年の時」というのはどういうものでしょう? 私は「エリザベート」を見るたびに、それを思うんですけれども。

 確かに……。一昨年、宝塚の初演メンバーでガラコンサートをやるということで気楽にお受けしたんですけど、かなり本格的なもので(笑)。「男役」で居るモチベーションがこんなに大変だったのか!ということを痛感したのです。16年前はそれが当たり前でしたし、何より若かったので(笑)。退団して16年後に同じことをやれというのは、とても酷なことで……。

 でも、その酷な時間を、非常に価値のあるひとときとして終えることができ、それは「エリザベート」という作品からもらった私の大きな財産だと思っているんです。年月は体力も奪うしモチベーションも下げるけれど、また「別のもの」を自分の中に植え付けてくれていたと感じることができましたから。同じものをやったからこそ、自分の変化がわかるのですよね。

──「別のもの」とは、どんなものだったんですか?

 死神(トート)という役のとらえ方が、(宝塚で)初演の1996年にやったときと、2012年にガラコンサートでやったときとでは違っていたんですね。ガラコンサートのときも宝塚の初演でつくったように始めたんですけれども、その間に(東宝で)シシィをやらせていただいたこともあってか、自分の中で微妙に捉え方が違っていました。

 それに初演のころは、自分という存在だけに集中していたじゃないですか。でも、2012年までには、自分とは違う、でも自分と同じDNAを持った娘(笑)との時間があったわけです。そんな自分から、何だか違う感情が湧き出たときがあったんですね。たとえば「人間って面白いな」と思ったりとか……言葉にするのは難しいですけど。

 自分では同じように役作りをしたつもりだったのに、お客さまからは「肩の力が抜けて良かった」とか、「包容力が出てきた」と言っていただいたときに、「ああ、自分では意識していないのに」と思ったんです。そういう経験って、なかなかないですよね。これがトートではなくてスーツを着ている男役だったら、そんなことはありませんから(笑)。「エリザベート」という作品であり「トート」という役であったから、16年経ってもやることができた。そんな作品に出会えたのも運命だったなと思います。

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