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特集 【公演評】ミュージカル「モーツァルト!」
天才の栄光と孤独、個性的キャストで描く

2014年12月9日更新

 ミュージカル「モーツァルト!」が帝国劇場で上演されている(大阪公演は2015年1月3日から)。この話はモーツァルトというひとりの天才を巡る人々の群像劇といってもいいのだろう。物語を動かしていくのは、ヴォルフガング・モーツァルト(井上芳雄/山崎育三郎)の周辺の人たちだ。(フリージャーナリスト・中本千晶)

 一癖も二癖もある面々が心情を歌い上げる楽曲の数々は、どれも聞き応えがある。もちろんどの曲も歌い手を選ぶが、その期待に応えられるだけのキャストがそろった。 

 ちくわのようなカールがついたカツラにゴテゴテした宮廷服の貴族たち、派手でキッチュな衣装の庶民たちの中、唯一ヴォルフガングだけは終始、Tシャツにジーンズというシンプルな現代の普段着のままだ。これは天才もまた、ごく普通の青年であることの象徴なのか? 彼には常にアマデ(内田未来/柿原りんか/日浦美菜子)という少年の姿の分身が寄り添っている。寄り添うといっても、ときに邪魔になったり、対峙(たいじ)せねばならないときもある。才能とは子どもの心であるという意味なのか?

 物語は、1幕では父レオポルト(市村正親)やコロレド大司教(山口祐一郎)の束縛の元であがき続ける若き日のヴォルフガングが描かれる。そして2幕ではコロレド大司教の手を逃れ、芸術家として一人で歩き始めたヴォルフガングのひとときの栄光と孤独、命を削って作品を生み出し続けて最期を迎えるまでが描かれる。舞台セットはシンプルだが、背後に映し出される映像の変化で、場所の移り変わりが表現される。

 主人公ヴォルフガングを演じるのは井上芳雄と山崎育三郎。初演時からこの役を演じている井上が「本公演がファイナルステージ」の宣言をしているのも話題のひとつだ。この他、病気休演後、本作において元気な姿で復帰してファンを沸かせた市村正親、今や「コロレド大司教といえばこの人」の山口祐一郎、「スターファイル」のインタビューでも語ってくれたような硬軟両極の持ち味をシカネーダー役で存分に発揮する吉野圭吾など、とにかく主要キャストが強烈な個性を放つ。

 また、コンスタンツェに平野綾とソニン、ヴァルトシュテッテン男爵夫人に香寿たつきと春野寿美礼、アマデに内田未来・柿原りんか・日浦美菜子と、主要な人物がW(もしくはトリプル)キャストになっているところも見どころだ。私が観劇した回は、ヴォルフガング(山崎育三郎)、コンスタンツェ(平野綾)、ヴァルトシュテッテン男爵夫人(香寿たつき)、アマデ(柿原りんか)であった。以下、舞台の様子をお伝えしよう。

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◆ミュージカル「モーツァルト!」
《東京公演》2014年11月8日(土)~12月24日(水) 帝国劇場
《大阪公演》2015年1月3日(土)~15日(木) 梅田芸術劇場
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/mozart/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』(東京堂出版)、『タカラヅカ100年100問100答』(東京堂出版)など。2014年11月に『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。