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特集 (1)普通の人を演じること自体が新鮮な中川アーロン

2014年12月15日更新
写真:「ファースト・デート」公演から=写真提供・東宝演劇部 「ファースト・デート」公演から=写真提供・東宝演劇部

 バシッと決めたスーツをウエイター(今井清隆)に「気合入り過ぎ」と指摘され、クールだと思って放った決めぜりふは上滑り、元カノや宗教など初デートでは禁句の話題を口にしては地雷を踏む……。焦れば焦るほど自爆していくアーロンを演じる中川晃教のテンポのよいせりふ回しと、ケイシー(新妻聖子)や自分の妄想に翻弄される場面の軽快な身のこなしが作品にリズムを生み、笑いを誘う。

 独特の歌声を持つシンガーゆえ今までは芸術家肌の役柄などが多く、ミュージカルでは異彩を放つ存在という印象があっただけに、メガネにスーツの“普通の人”を演じていることが新鮮だ。と、同時に海外ドラマの会話劇特有の、ウィットに富んだ軽妙なせりふが板についていて、まるで音楽のようにするするっと耳に飛び込んできてなんとも心地いい。

 また、恋に不器用な一方で、早くに亡くした母への思いにほのみえる温かさや、バランス感覚のよさなど、ケイシーが最初は「ただのいい人」と思いながらも次第にひかれていくにふさわしい、じわじわとにじみ出る人間的な魅力にも説得力があった。もちろん、歌でも「君に恋して」をはじめ数々のナンバーで劇場を沸かせた。

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