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特集 (6)藤岡:明日もがんばろうと思える、空気を肌で感じて

2015年1月6日更新
写真:右から、四宮貴久・RiRiKA・藤岡正明=撮影・斎藤泉 右から、四宮貴久・RiRiKA・藤岡正明=撮影・斎藤泉

――「TRAILS」は主人公たちの子ども時代から描かれますが、みなさんはどんな子どもでしたか?

藤岡:僕は、完全にセスじゃないです(笑)! サッカーやって、ケンカして、基本やんちゃでしたね。

――以前、やはり子ども時代から演じられた「ブラッド・ブラザーズ」のミッキーに近い感じですか?

藤岡:そうですね。あの作品では一幕が全部8歳でしたし。そうそう、「ブラッド・ブラザーズ」で子どもを演じたときにすごく思ったのは、フットワークがすごく軽い、体だけじゃなくて、心のフットワークも軽くなければいけないと思って、それはセスをやっていても思いました。ただ、僕はセスとは違って、誰かを立てるということはしなかったですね(笑)。俺が俺がって感じでした(笑)。

――藤岡さんは18歳の時にシンガーとしてデビューされましたが、音楽に興味を持ったのはいつ頃でしたか?

中学のときにギターを持ったのが最初でした。それまでも音楽はやっていたんですが、基本的に嫌いでした。恥ずかしかったんでしょうね。男の子がバレエダンサーになる「リトル・ダンサー」という映画でもそうですけど、男がバレエとかヴァイオリンをやるのはナヨナヨしてるようでヤダみたいな感覚があって。だから、音楽をやっていることは友達に知られたくないと思っていました。

RiRiKA:ひねくれてるってことですね(笑)。

藤岡:そうかもしれない(笑)。

RiRiKA:私はエイミーの子ども時代そのままでしたね。自分がいつも主役じゃないと嫌だという性格でした(笑)。小さな頃から歌うことが好きで、人前で歌ったりしていました。

四宮:子どもの頃は合唱団に入っていました。いい意味でマイペース、悪く言うと協調性がなかったかもしれない(笑)。人と同じことをすることにあまり興味がなかったかも。人が既にしていることは自分はしなくてもいいんじゃないかって。日本の音大出にも関わらず、アメリカでダンサーとして仕事したり。今もあまり変わってないですね。

――最近の活動についても教えてください。藤岡さんはいわゆる大作から自分自身で立ち上げられた劇団のオリジナル作品まで幅広く活動されていますね。

藤岡:劇場のサイズによって芝居の種類は変わることはありますけど、取り組み方は一貫して純粋にその本を読もうということを意識していますね。ここ数年、自分の役に目を奪われがちだったなと思っていて。それよりも、台本を読み込んで読み込んで作品を知ることで、おのずと自分は何をしなければならないかとか、どういるべきかが見えてくるような気がするので、とにかく今は台本を読み込もうと意識しています。もちろん、いろんな規模の作品に出演したり、自分の音楽をやることは楽しいです。

――俳優業も音楽業も自分には必要だなと感じていますか?

藤岡:興味があるとか、必要ということも意識していないですね。ライフワークというか空気みたいな存在として、もう当たり前に寄り添ってくれているものとしてある。絶対に必要だし、愛しているものなんですけれど、「これをやりたい!」という能動的なものというよりは、それに自分が取り組んでいる姿が自分らしいし、自分のアイデンティティになっているといったほうが近いかもしれませんね。

――RiRiKAさんは元宝塚歌劇の娘役さんで、退団後は主にシンガーとして活動されていますね。

RiRiKA:はい。退団後もミュージカルに出させてもらっていたんですけれども、この2~3年はシンガーとしてやり切れるところまでやりたい!と思って、しばらく舞台はお休みさせていただいていました。

――ソロとしての活動と並行して、最近は舞台女優の宇野まり絵さんとの音楽ユニット「ファンタスマゴリック」としても精力的に活動されていますよね。ソウルフルな歌声で聴かせる一方で、かぶりものもいとわないおふたりのユニークなキャラクターがすてきです。

RiRiKA:ありがとうございます(笑)。東北の震災で何かチャリティをやりたいと思ったときに知り合って、意気投合したんです。ふたりでチャリティコンサートをしたり、1週間ぐらいで曲を10曲ぐらい作って、「あれ? 私たちかなり合うんじゃない?」って。じゃあ一緒に活動しようということで「ファンタスマゴリック」を結成しました。今は“ファンマゴ”が活動の中心になっていますね。でも、そんな音楽活動が中心のなか、「TRAILS」に呼んでいただいたのはすごく光栄でうれしいです。

――四宮さんは西日本に拠点を置く劇場の作品に出演されたり、海外の作品に出演されたり、幅広く活動されていますね。

四宮:西日本にこだわっているわけではないんですけれど、岡山シンフォニーホールでのワークショップや、愛媛に拠点を置く坊ちゃん劇場の作品など、いい作品に出会えました。一方ロシアでは、ヨーロッパ中に名をはせるマールイ劇場の舞台に立つ機会もあったり、日本の歴史に基づくオリジナルミュージカルがロシアの人に絶賛されるという貴重な経験も。良い作品であれば海外にも行くし、逆に日本の良い作品を海外に持っていくのもいいなと思ったりしています。

――2015年は渡辺謙さんがブロードウェイデビューすることで話題になっている「王様と私」に出演されますよね。四宮さんは以前「王様と私」の全米ツアーに参加されていますが、今回はその関係でのご出演ですか?

四宮:いえ、それとは全然関係なくて、オーディションを受けて合格しました。

――四宮さんの活動の基準は?

四宮:自分自身が事務所に所属していないので、「TRAILS」に出てくるママ・ハーレーのように、流浪の旅をしているような感じですね。(笑)。関西圏のバレエスタジオで振り付けをしたり、方々で演出や講義をすることもあるんですけれど、幼児教育や幼児進学をされている方が自分の講義を受けて「ためになった」と言ってくださったりすると、役を演じることだけがパフォーマンスじゃないなと。アーティストかエンターテイナーかと言ったら、自分はエンターテイナーだと思うので、何であろうと人をエンターテイン(喜ばせる)するスタンスで活動しています。

――それでは、最後に読者へメッセージをお願いします。

藤岡:この作品は入り込みやすいというか、すっと体に入ってくれる音楽で、お話もわかりやすいですし、ぜひとも疲れている人に見ていただきたいなと。セスだけでなく、マイクやエイミー、そしてほかにも出てくる登場人物が何かしら闇や傷を抱えている作品なんですよね。それは現代人がきっと誰しも持っているであろう、どこかに共感できるだろう苦しみや痛みだと思います。それを解消するヒントになったり、明日もがんばろうと思える作品なので、ぜひ劇場でトレイルコースの空気を肌で感じて、すがすがしい気持ちでデトックス効果を感じていただけたらと思います。マッサージやヨガではなく、「TRAILS」を見に来て、心を解放してください。

RiRiKA:とにかく作品自体がおもしろいし、音楽もいいし、出演者のみなさんの歌も素晴らしいし、見どころがいっぱいです。小劇場でこんなものが見られるなら、私も見に行きたいと思います。小劇場で、藤岡くんの歌を聴けるというだけで価値があると思います。本もおもしろくて、ひとりひとりがめちゃくちゃ個性的な人生が描かれているので、どこかには絶対共感できると思います。ザ・ミュージカルではなくポップス志向だったり、音楽を作っているクリエイターたちが集まっているところも楽しみです。かなり期待していただいていいのかなと、今自分に圧をかけているところです。思い入れの強い作品なのでがんばりたいと思います。

四宮:某劇団のようなきらびやかな階段はありません(笑)。ダンスナンバーもありません。歌とせりふと音楽、それだけでアメリカの大自然を描きます。それを演じきる実力派の出演者にお集まりいただきました。人によっては、こんなミュージカルがあるんだ、知らなかったと思ってもらえると思うんです。こんな小さな劇場でも、こんなスケールの大きい作品ができるんだということを感じてもらえるような作品だと思っています。芝居から歌への切り替えも自然なので、ミュージカルが嫌いという方にもスッと入っていけると思います。ふだん映画しか見ないという方にも楽しんでいただけると思うので、ぜひぜひいらしてください!

<インタビューを終えて>
 2012年、「TRAILS」の初演は朗読コンサートという形式で上演されました。新宿の100人も入れば満席になりそうな劇場で、椅子のみが置いてある簡素な舞台。そんな小さな空間に、音楽と芝居の力のみで、アパラチアの大自然を描き出し、同時にセスの心の変化を子細に捉えた演出に、すがすがしい感動と興奮を覚えたことが今なおまざまざと思い出されます。 

 今回は待望のフルバージョンによる上演とあり、セス役の藤岡さん、エイミー役のRiRiKAさん、そして初演ではマイク役を自ら演じていたプロデューサーの四宮さんにインタビューをさせていただき、おひとりおひとりのお話に作品への思い入れが強く感じられ、一作品ファンとして思わず聞き入ってしまう場面も多くありました。

 また、初演時に幼なじみ役を相性抜群に演じていた3人だけに、撮影での息もピッタリ。再演にあたっては新たなキャストや楽器が加わり、今度はどんな化学反応が起こるかがとても楽しみです。アメリカでも動員数を増やしながら成長しているこの作品、個人的にも大きなポテンシャルを感じているので、多くの人に見ていただきたいなと思っています。

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◆ミュージカル「TRAILS」
《東京公演》2015年1月28日(水)~2015年2月1日(日) 池袋シアター・グリーン BIG TREE THEATER
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.trailsthemusical.jp/

《筆者プロフィール》岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター。WEBおよび出版を中心に、企画、編集、取材、執筆を行う。エンタテインメント、女性、仕事など、幅広いテーマで活動。