マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集 (4)別世界の住人のように存在する、満島オフィーリア

2015年3月17日更新
写真:「ハムレット」公演から、オフィーリア役の満島ひかり(左)とハムレット役の藤原竜也=撮影・渡部孝弘 「ハムレット」公演から、オフィーリア役の満島ひかり(左)とハムレット役の藤原竜也=撮影・渡部孝弘

 父ポローニアスをハムレットに誤って殺(あや)められ、正気を失ってしまうオフィーリア。可憐(かれん)な印象の前半とは一転、後半オフィーリアが登場したときの変貌(へんぼう)がすごかった。

 うつろな目、乱れた髪、薄汚れた白いドレスは肩が出て脱げそうになっている。足元は裸足だ。か細く響く声で歌を歌いながら、王や王女に花を配って回るオフィーリア。同じ舞台空間で、同じ空気を吸っているはずなのに、“ここではないどこか”別世界の住人のように存在する。純粋さだけが肉体に宿り、あとは漂白されたような佇(たたず)まい。感情を抱かず寄せつけず、まるで記号のようにそこにいる。

 だから「憂いも悩みも苦しみも、地獄そのものでさえ、この子は、愛らしい魅力的なものに変えてしまう」と、兄・レアーティーズがつぶやく言葉が重く響いた。また兄のレアーティーズは、ひかりの実の弟、満島真之介が演じており、二人が一緒に舞台に立つと一瞬、恋人同士かと見間違えるほど自然に寄り添っていた。オフィーリアに対する情愛がまっすぐに伝わってきた。

戻る 続きを読む