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特集 (3)難しい役をひるむことなく堂々と演じた花乃

2015年3月27日更新
写真:「カリスタの海に抱かれて」公演から、シャルル役の明日海りお(左)とアリシア役の花乃まりあ=撮影・岸隆子
「カリスタの海に抱かれて」公演から、シャルル役の明日海りお(左)とアリシア役の花乃まりあ=撮影・岸隆子

――総督府で行われた晩餐(ばんさん)会の席で、シャルルはパリで民衆の怒りが高まっていることを伝えるが、貴族たちは王政が揺らぐはずはないと聞く耳を持たない。そんな現状に嘆くシャルルは、裏庭で突然、何者かに襲われてしまう。だが敵の正体をすぐに悟り、闇に向かって「今夜、レフコスの浜で待っている」と告げるのだった。そしてその夜、シャルルの元にやってきたのはロベルト、20年ぶりの再会だった。フランスの動乱に乗じてカリスタは独立できると語るシャルルに、ロベルトは不審の色を隠せない。だが、シャルルの情熱と誠意に、独立派メンバーの女戦士アリシアは強く惹(ひ)かれ始めていた。

 花乃さん演じるアリシアは、思ったことはなんでも口にする男勝りな女性で、言葉づかいも態度もパワフルなおてんば娘。カリスタ島から出たことがないため、異国からやってきたシャルルに興味津々です。勝ち気な中にも素朴な可愛らしさをにじませる難しい役柄ですが、ひるむことなく堂々と演じていました。花乃さんは素顔が女優の綾瀬はるかさんにそっくりな美貌(びぼう)が魅力。小柄なので明日海さんとの並びも自然で、トップ娘役お披露目の初々しさもあふれていました。

 この公演で、月組から異動してきた鳳月杏さんは、シャルルの副官マリウスを演じています。生真面目で忠実な部下を品よく演じながら、花組に新しい風を吹かせていたのも印象的でした。

――フランス軍の武器を横流しし、使い方まで指導するようになったシャルルに、ロベルトや独立派メンバーは徐々に心を開くようになる。だが、アリシアの兄セルジオ(瀬戸かずや)だけは、かたくなに受け入れようとはしない。華やかなフランスに憧れていることを率直に口にする自由奔放なアリシア。そのフランスに生きながら、カリスタで命を終えることが夢だというシャルル。互いに惹かれあう2人の距離はまたたく間に近づいていく。だが、ロベルトもまた、アリシアのことを強く愛していた。シャルルとロベルトの友情、そしてアリシアを巡る愛。独立運動の行方をからめ、物語は意外な方向へと転がっていく……。

 瀬戸さん演じるセルジオはアゴにヒゲをたくわえ、野卑(やひ)なスタイルが最高にカッコいい。シャルルに傾き始めたメンバーたちに苛(いら)立ち、何度もフランスへの憎しみを思いだすよう訴えかけます。男役として充実期を迎えた感もある瀬戸さんですが、今回も大人の魅力をいかんなく発揮しています。

 心優しく、常にみんなの意見に耳を傾けようとする独立派メンバーの1人、クラウディオを演じるのは鳳真由さん。温かさがにじみ出るキャラクターは、鳳さんのイメージそのままかもしれません。アルドの恋人アニータ役の美穂圭子さんが、物語の要所要所で歌い上げるのもドラマチックです。独特の歌声はもはや芸術品のよう。芝居にぐっと深みを増す存在感は、これぞ専科の役者さん!と、思わずうなってしまいました。

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