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特集 (1)軽やかなタップに、さわやかさがピタリとはまる朝夏

2015年4月8日更新
写真:「TOP HAT」公演から、ジェリー役の朝夏まなと=撮影・安田新之助 「TOP HAT」公演から、ジェリー役の朝夏まなと=撮影・安田新之助

 フレッド・アステアといえばミュージカル界の大スター、タカラジェンヌたちにとっても憧れの星です。彼のトレードマークだったシルクハットに燕尾(えんび)服、ステッキを片手に踊る姿は、まさに宝塚男役の原点のよう。それが最も印象的な作品が、この「TOP HAT」なのです。ジンジャー・ロジャースとの名コンビで紡ぐオシャレなラブストーリーと高度なタップダンスが生きたこの名作は、ともに確かな実力を持つ朝夏さんと実咲さんの宙組新トップコンビお披露目にピッタリといえるでしょう。

 開演前のオーバーチュアに、さっそく海外ミュージカルらしさが盛り上がります。スクリーンにキャストが映し出され、ミラーボールが輝く劇場にドラムロールが鳴り響くと、開演アナウンスからすでに物語は始まっていました。幕が上がると、そこはきらびやかなブロードウェイのステージ。大人気のショースター、ジュリー・トラバース(朝夏)は、今日も華やかな舞台で大喝采を浴びていました。

 冒頭から大人数で挑むタップダンスは、いきなり圧巻の一言。本間憲一氏がタップ指導にあたった宙組生たちの軽やかなステップがステージをたたくと、客席の興奮も高まってきます。

――友人の英国人プロデューサー、ホレス(七海ひろき)の新作レビューに出演するため、ロンドンにやってきたジェリーは、滞在するホテルで、ホレスから妻マッジ(純矢ちとせ)が女性を紹介したがっていると聞くが、結婚にはまったく興味がない。自由に生きる楽しさを謳歌(おうか)するように踊り出すが、その足音は下の部屋にいたファッションモデルのデイル(実咲)を悩ませていた。苦情を言いにやってきた彼女を見て、ジェリーは思わず一目ぼれ。翌朝、おわびに乗馬クラブまで送ることを提案するが、怒りがおさまらないデイルは当然断ってしまう。それでもめげないジェリーは運転手に扮してついていき、ますます彼女をあきれさせた。そんな中、突然の雨が2人を襲う。

 踊ることが大好きなジェリーは、夜であろうが、ホテルの部屋であろうが、どこでもステップを踏んでしまいます。メイドやポーターまで巻き込んだり、帽子掛けと一緒に踊ったりと、その演出がどれも洒落ているのが憎い。朝夏さんは常々、ノーブルさとスピード感を持ち合わせたダンスが魅力的だと感じていましたが、今回はその良さがいかんなく発揮されたといえるでしょう。軽やかな身のこなしに心地いいタップの響き。そしてスラリと伸びた手足の長さが、ダンスの美しさをより一層引き立てることを実感させてくれました。朝夏さん自身のさわやかな雰囲気も、陽気で前向き、ちょっぴりチャラ男なジェリーにピタリとはまっています。

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