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特集 (3)間違っていなかったのは、流されなかったこと

2015年4月27日更新
写真:山本耕史=撮影・宮川舞子 山本耕史=撮影・宮川舞子

――ミュージカル、ストレートプレイ、映像とさまざまなジャンルの作品に出演されていますが、ストレートプレイの面白さは?

 「嵐が丘」は土台がしっかりした作品ですし、日生劇場でこれだけの回数を上演するわけですから、やはり演劇として、エンターテインメントとしてお楽しみいただける作品にしたい。重厚な作品ではありますが、あまり文学的に難しくならないようにしたいですね。お客さんとの距離をとるような作品にはあまりしたくないです。お客さんに訴えかけるようにわかりやすく、雅(みやび)やかに。どこかきらきらしていて、愛の形がどうであれ素敵だなと思うような作品にしたいです。でも、真希ちゃんがいるから大丈夫です! だって、真希ちゃんを見ていれば可愛いんだから(笑)。僕たちは出たり引いたりしながら、彼女を支えます。

――「出たり引いたり」とおっしゃいましたが、山本さんの舞台を拝見していて、年齢の割に抜け感があると感じるんです。

 そうですか。人が魅了されるのってギャップだと思うんですよね。だから、力を入れ過ぎないことで生まれる緩急がギャップになるので、役の中で、そのギャップの振り幅を大きく演じたいなとはいつも思っています。

――いつ頃それに気づかれたんでしょうか?

 そう考えると……僕もまだまだですけれど。でもあまり頑張り過ぎなくていいんだと思い始めたのは24、5歳かな。それまでは力を入れてやっていました。演じていても見ていても、抜いたほうがすごく面白かったりするんですよね。舞台って、中学校のテスト中のような緊張感で見ていることが多いけれど、そこで誰かがおならをしただけでめちゃめちゃ笑えることってあるじゃないですか? そういうぴんと張りつめたものを、すっと解く瞬間みたいなものが、舞台だとひとりひとりのアクティングで表現できる。ここで抜いた方がいいなとか、ここはぐっといっておこうとか、やっていてちゃんと意味がわかるというか。

――抜くことができるようになったのは、何かきっかけがあったんですか? それとも積み重ねでしょうか?

 どちらもありますね。ひとつ間違っていなかったなと思うのは、流されなかったということかな。皆がこうやっているから自分もではなく、自分はこういうやり方でやっていこうと思い、やってきたことが今につながっていると思います。

――感覚でつかんで、こうだと思った?

 正直に表現すると、「まぁ、人生は仕事だけじゃないしな」と気づいた。なんで真面目にセリフを覚えて言い合っているんだろうと。けれど、それが素敵な瞬間なんですが。

――引いて見ているんですね。

 そうですね。やっているときはものすごく集中するけれど、基本、自分は怠け者だから(笑)。

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