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特集 (6)同じ作品で2役やりたいと、いつも思っている

2015年4月27日更新
写真:山本耕史=撮影・宮川舞子 山本耕史=撮影・宮川舞子

――舞台を中心に活躍されている印象が強いですね。

 中心にしているわけではないんですがね。

――そういう意思を持っているわけではないんですか?

 全くないです。結果そうなっているのかな。テレビのバラエティーにはあまり出たくないという意思はあるけれど、こういうのをやりたいというのはないですね。

――今後やりたいものもない?

 ないです。頂いたものを一生懸命頑張るだけですね。やりたくないものはありますけれど。だから、いつもお話を頂いたときに、「それならばやってもいいかな」ということが大事です。「ヴォイツェク」は、白井(晃)さんならばやりたいと言いました。結果、作品も演出も素晴らしかったですね。「嵐が丘」も、真希ちゃんならばやりたいと思いました。

――どこか惹(ひ)かれるポイントがあるんですね。

 やはり優れている人とクリエーティブするのは楽しいです。自分の細胞が開いていく感覚があるので、そういうのは好きですね。三谷(幸喜)さんの作品とかね。

――「おのれナポレオン」ですね。そういえば、「ロックオペラ モーツァルト」も素晴らしかったですね。

 歌が高過ぎましたけどね。職人にしか歌えないですよ。アッキー(中川晃教)は合っていて、すごいなと思いました。どこまで高い声が出るのというぐらいでしたね。

――かすれた歌声も色気があって素敵でしたけれど。モーツァルトとサリエリ、2役を入れ替えて演じるのはいかがでしたか?

 実は同じ作品で2役やりたいといつも思っているんですよ。例えば、昔「ロミオとジュリエット」でロミオをやったときに、「マーキューシオを自分がやるならこうしたいな」とか。常にこうやってやったらいいのになと、相手役に対して思うんです。僕も思われているかもしれないですね。

 だから、「ロックオペラ モーツァルト」で2役演じるというのはすごく大変だったけれど、とても贅沢(ぜいたく)な時間でしたね。サリエリならばこういう風に……と思っていることが、次の日にできるじゃないですか。アッキーのモーツァルトを見ていて、僕とは真逆の感情でやっていたりするから、自分ならばこうだなというのが確実にあるんです。もちろん彼が間違っているのではなくて、自分の感覚と人の感覚をスイッチして次の日にそっち側ができるというのは、ひとつの夢がかなうということですよ。

 自分の舞台を一生自分で生で見ることはできないけれど、2役を演じると舞台を生で見ている感じになるんですよね。昨日自分がやっていた役を人がやっていて、客観的に見られて、そしてスイッチしてまた演じるから、立ち位置も変わる。同じ役ならば見る方向も全部決まっているし、発する言葉も決まっているから一方向でしか全てを捉えられないけれど、反対側に立って自分を見るような経験は初めてだったので、面白かったですね。

――「嵐が丘」ならば、エドガーやヒンドリーをやりたいと思うのでしょうか。

 そうかもしれませんね。

――ありがとうございました。「嵐が丘」を楽しみにしています。

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

〈インタビューを終えて〉
 インタビューに入るとき、なんてナチュラルに話し始める人だろうと思った。インタビューを始めてスイッチが入る方が圧倒的に多いのだが、山本さんはそうではなかった。いつも同じスタンスなのだろう。それゆえ聞く側にとって心地良い時間であった。「軽やかな人」という印象だ。舞台での抜け感からも感じていたが、お話をうかがっていてもその軽やかさが魅力で、こういう風に生きられたら人生楽しいんじゃないかと思った。「人生は仕事だけじゃないしな」と笑いながら、演じるときは最大限の力を発揮する……なんてかっこいいんだろうか。やりたいものはないと話す山本さんが、これからどんな役を生きて魅了してくれるのか、ますます楽しみになった。

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◆「嵐が丘」
《東京公演》2015年5月6日(水)~26日(火) 日生劇場
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.shochiku.co.jp/play/others/schedule/2015/5/post_203.php

(関連リンク:「嵐が丘」公式ツィッター)
https://twitter.com/arashigaoka2015

(関連リンク:山本耕史オフィシャルファンクラブ)
http://www.magnum1031.com/

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーランスのフォトグラファー、ライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。