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特集 【トピックス】「トロイラスとクレシダ」制作発表会見
主演・浦井健治、シェークスピアの問題劇に挑む

2015年6月17日更新
写真:「トロイラスとクレシダ」製作発表会見から=撮影・岩村美佳 「トロイラスとクレシダ」製作発表会見から=撮影・岩村美佳

 浦井健治主演の「トロイラスとクレシダ」が、7月15日から8月2日まで、東京・世田谷パブリックシアターで上演される(全国4都市公演あり)。世田谷パブリックシアター、文学座、兵庫県立芸術文化センターの共同制作による公演。浦井をはじめとする主な出演者、演出の鵜山仁、翻訳の小田島雄志が一堂に会し、制作発表が行われた。(フリーランスライター・岩村美佳)

 「トロイラスとクレシダ」は、戦争の中で翻弄(ほんろう)される男女を主人公としたシェークスピア作品だ。シェークスピアが「ハムレット」や「十二夜」を書き上げたとされる翌年の1602年ごろに書き上げた作品で、悲劇的でありながら喜劇的・笑劇的・風刺劇的要素も多く含むことから、シェークスピア作品の中でもっとも分類困難な問題劇とされる。

 小田島はシェークスピアの翻訳をはじめた学生時代に、イギリスでシェークスピアをやっている人に「演出家が一番やりたがる本であり、観客が一番見たくない本である」と言われたそう。「さまざまな要素は割り切れるものではない、という人間観が広まった今だからおもしろいのではないか」という。一方、鵜山は「小田島先生にめんどうくさい戯曲だと言われて上演を決めた」と笑う。「愛、神秘、名誉などが壊れていくときの崩壊エネルギーが生まれたときに、人が何を支えに生きていくのかを描いた作品。混沌(こんとん)の中から未来の姿が見えてくるのかどうかは私たちの問題でもあるし、そのあたりにも触れることができたら」と話した。

 そして、キャストは鵜山が信頼を寄せるメンバーが集まった。トロイの王子トロイラス役を演じる浦井は「トロイラスは、戦時中にもかかわらず開口一番『戦争に行きたくない』と言う、インパクトがあって人間的な役。成長し、崩壊していくことで人間的にも色づいていくのがおもしろい。結論が出なくても、結局進んでいかなければいけないという現代的で退廃的なところが、今の日本をも表している」と話した。トロイの神官の娘クレシダ役を演じるソニンは「人生は、すごく混沌としている世界で、時に悲劇、滑稽、美しく、汚い部分が混ざりあっているんじゃないかと思う。ニューヨークに留学して、シェークスピアがなぜずっと愛され世界中で上演されているかを実感したので、その素晴らしさや美しさを自分で解剖しながら、今の自分なりに、魅力的に演じられたらと思っている」と語った。

 キャストの背景にはふたりのポスターがびっしりと貼られ、その濃密さが印象的だった。浦井は「突然いらした鵜山さんの指示で撮影したカットが第一弾ポスターになり、出合い頭が印象的だった」と明かし、ソニンは「いろんな自分たちのアイデアで即興で撮ったように、ふたりのシーンもあうんの呼吸でいいものが生まれるのでは」と期待を寄せる。さらにお互いについて、「『ヘンリー六世』で共演したときに、表現したいというエネルギーがどこから出るのか印象的だった。演劇を愛している人だと思うので楽しみ」と浦井が語れば、ソニンは「稽古場で身を投じて現場にいらっしゃる若い俳優さんを初めて見たので衝撃でした。相手役として絡むお芝居で共演したいと夢見ていたので、すごくうれしい」と応える。

 ふたりを囲むのが実力や経験に富んだ面々。ギリシャの将軍でクレシダに求愛するダイアミディーズ役の岡本健一、トロイ王の長男ヘクター役の吉田栄作、クレシダの叔父パンダラス役の渡辺徹、ギリシャの将軍ユリシーズ役の今井朋彦、ギリシャの将軍アキリーズ役の横田栄司、トロイ王プライアム役の江守徹らだ。

 岡本は「情欲担当です(笑)。基礎体力をつけて、戦争とセックスを体現できたら」、吉田は「英雄だけれど、どこか本当は戦いたくない思いを感じるので、それが少しにじみ出れば」と語る。渡辺は「何が飛び出すのか、何が生まれるのかわからない。鵜山演出に任せておけば絶対におもしろくなる」、今井「策略担当です。これまでのシェークスピア作品よりも身軽な心持ち。この作品が持つ現代性みたいなものとつながってくるのかなと思う」、横田は「人間くさいアキリーズになったらいい。たくさんシェークスピア作品をやってきたけれど年々嫌で嫌で仕方なく逃げ出したい」。江守は「僕はひと言だけ。新人のつもりで頑張ります」とそれぞれに意気込みを語った。

 総勢26人のキャストと2人のミュージシャンが出演する。客席と舞台がフラットになった劇場でラストには殺陣も存分にあるという。その臨場感を体全体で感じられる舞台になりそうだ。

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◆「トロイラスとクレシダ」
《東京公演》2015年7月15日(水)~8月2日(日) 世田谷パブリックシアター
《石川公演》2015年8月7日(金)~9日(日) 能登演劇堂
《兵庫公演》2015年8月15日(土)~16日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
《岐阜公演》2015年8月20日(木) 大垣市民会館 大ホール
《滋賀公演》2015年8月23日(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2015/07/post_405.html

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーランスのフォトグラファー、ライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。