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特集 【インタビュー】「プリンス・オブ・ブロードウェイ」出演
柚希礼音、挑戦する道を選んだ私を見に来て欲しい

2015年7月24日更新

 この秋注目のミュージカル「プリンス・オブ・ブロードウェイ」の制作発表記者会見が都内のホテルで行われた。ハロルド・プリンスは「オペラ座の怪人」「エビータ」など数々の傑作ミュージカルを生み出したブロードウェーの演出家だ。珠玉の名曲・名場面でつづられるこの作品は、プリンスの演出家人生の集大成ともいうべき一作になりそう。ワールドプレミアミュージカルと銘打たれているとおり、いずれはブロードウェーでの上演を目指しての日本初演となる。(演劇ジャーナリスト・中本千晶)

 会見にはハロルド・プリンス、演出・振り付けを手がけるスーザン・ストローマン、キャストからシュラー・ヘンズリーとケイリー・アン・ヴォーヒーズ、宝塚の元トップスター柚希礼音、そしてプリンスの声を担当する市村正親と、豪華な顔ぶれがそろった。会場は駆けつけた多くの報道陣で熱気にあふれ、この作品への注目度の高さをうかがわせた。プリンスはこの作品への思いやこれまでの自分のミュージカル人生について語り、充実した内容の会見となった。

 プリンスは最初、この作品の企画が持ち込まれたとき、自分のことを宣伝するようで「ちゅうちょも感じた」という。だが、結局は魅力のほうが勝ったので実現の運びとなった。その魅力とは「自分のキャリアの中で時間をかけて起こった、ミュージカルという芸術の大きな変化を描くことができること」だった。ミュージカルが世界中のものとなった今、この作品を通じてブロードウェーで培ってきた伝統を継承し、その財産を分かち合いたいという思いがある。

 自分の声を担当する市村に関しては「運に恵まれながらも、常にリスクを取ってチャンスを生かしてきた」自分の人生を描けるのは「彼しかいない」という。対する市村は「彼こそが『劇場の人だ』と思う。そんな彼の声を、『日本で劇場を最も愛している』僕がやるという機会を、お芝居の神様が自分に与えてくれた」と喜びを語った。

 プリンスとは「オペラ座の怪人」以来の長い付き合いで、プリンスの作品を10本以上やっているのは自分だけだと自負する市村。「いよいよ私がブロードウェーに行ってトニー賞を……とは全然思ってはおりません(笑)」とユーモラスに語って場を盛り上げた。

 「一番思い出深い作品は?」という質問に対するプリンスの答えは意外にも「フォーリーズ」というお答え。「この作品は残念ながらメガヒットにはならなかったけれども、だからこそ、とても大事に思っているのかもしれない」と振り返る。

 「バカげたものには興味がない。中身のない空虚な豪華さは好きじゃない」というプリンスは、ミュージカルの中でも政治や社会、結婚生活といったシリアスなテーマを扱った作品が好きなのだそうだ。シリアスなテーマを音楽やダンスで描くところにミュージカルの魅力があると考えている。

 この5月に宝塚を卒業したばかりの柚希礼音が加わることも、この作品のもう一つの大きな話題だ。宝塚時代は100周年という節目の年を劇団の要として支え、昨年は武道館でのコンサートも大成功させた偉大なるトップスターであった。とりわけダイナミックなダンスには定評のあった柚希が、この作品でどのような第一歩を踏み出すかも大いに注目されるところだ。

 柚希は「レオン」という彼女自身の名前の役で登場し、「くたばれ! ヤンキース」「蜘蛛(くも)女のキス」「太平洋序曲」の名場面の中の役も演じる予定。もちろん女性としての登場だが、中には男役として出る場面もあるらしい。

 「柚希さんの女役がどうしても想像がつかないんですけど?」との質問に対してプリンスは「Very beautiful lady!」とおちゃめに否定。「衣装もすごく考えてくださっていて、ファンの方もショックを受けない、カッコいい女子のイメージになると思います」という柚希に対してもプリンスは「任せて!」と太鼓判を押してみせた。

 柚希のための長めのダンスシーンも準備されるとのことだ。振り付けを担当するスーザン・ストローマンは柚希に関し「類いまれなるダンサーでありパフォーマー」と評し、「彼女のために新しい振り付けをするのをとても楽しみにしている」と語った。

 会見のあいさつで柚希は「ケイリーさんと楽屋でお会いして『いや~、クリスティーヌだー!』と思ってしまいました。夢のようですが夢ではないようなので、英語も一生懸命勉強して、言葉を超えて心をお伝えできるようにお稽古をしたい」と意気込みを語った。

 また、スターファイルでは同日、柚希さんへの単独インタビューを実施した。宝塚卒業からわずか1カ月余り、しかもこの日は終日びっしりと取材の予定が詰まっていたにもかかわらず、疲れた顔ひとつ見せることなく、宝塚での重責を無事に果たした今の思いや、これからのことについて率直に語ってくれた。

 殺到する取材では「スカートははきましたか?」「髪は伸ばさないんですか?」といった質問がお約束のように出るが、柚希自身は「今までの自分をそんなにすぐに消さなくてもいいと思っている」といたって自然体だ。いっぽうで「宝塚時代は良いところも悪いところも指摘してもらえる環境に恵まれていた。これからは自分チェックをもっと心がけないと」と、自分への厳しさも忘れていない。

 宝塚時代ずっと応援してきてくれたお客様への感謝の気持ちを込めつつも「挑戦し続ける道を選んだ私をぜひ見に来て欲しい」と語る。次なるステージに向けて早くもスタートを切った元気いっぱいの姿がとてもすがすがしいインタビューとなった。

 ※有料ページにはインタビューの全文を掲載しています。ぜひお読み下さい。

〈柚希礼音さんプロフィル〉
 大阪府出身。1999年、宝塚歌劇団入団。雪組公演「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台を踏み、その後星組に配属。2003年「王家に捧ぐ歌」で新人公演初主演、同年バウホール公演、バウ・ワークショップ「おーい春風さん」でも初主演を果たす。09年「大王四神記ver.Ⅱ」で星組トップスターに就任。「ロミオとジュリエット」「オーシャンズ11」「眠らない男・ナポレオン―愛と栄光の涯(はて)に―」などに主演。スペシャル・ライブ「REON」や、14年には武道館で単独コンサート「REON in BUDOKAN~LEGEND~」を行う。また、同年の宝塚歌劇100周年を支え活躍。15年5月「黒豹(くろひょう)の如(ごと)く/Dear DIAMOND!! ―101カラットの永遠の輝き」で宝塚歌劇団を退団。

(柚希礼音オフィシャルファンサイト:http://reon-yuzuki.jp/

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◆ワードルドプレミア ミュージカル「プリンス・オブ・ブロードウェイ」
《東京公演》2015年10月23日(金)~11月22日(日) 東急シアターオーブ
《大阪公演》2015年11月28日(土)~12月10日(木) 梅田芸術劇場メインホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://pobjp.com/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』(東京堂出版)、『タカラヅカ100年100問100答』(東京堂出版)など。2014年11月に『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。