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特集 (1)現代的な衣装、古典の物語を身近に結びつける

2015年7月29日更新
写真:「トロイラスとクレシダ」公演から=撮影・細野晋司(世田谷パブリックシアター提供) 「トロイラスとクレシダ」公演から=撮影・細野晋司(世田谷パブリックシアター提供)

 トロイ戦争が始まって7年。トロイ王プライアムの末王子トロイラス(浦井)は、神官カルカス(廣田高志)の娘クレシダ(ソニン)に恋い焦がれている。クレシダの叔父パンダラス(渡辺)の仲介により2人は結ばれ、永遠の愛を誓う。しかし、トロイを裏切りギリシャ側についたカルカスは娘のクレシダとトロイの将軍との捕虜交換を求め、クレシダはギリシャ側に引き渡されてしまう。その後、トロイラスはギリシャ陣営を訪れる機会を得るが、そこで彼が見たのは、ギリシャの将軍ダイアミディーズ(岡本)の愛を受け入れようとするクレシダの姿だった。

 一方、トロイ王の長男ヘクター(吉田)は膠着(こうちゃく)した戦況を打破するため、ギリシャ陣営へ一騎打ちの申し出を伝える……。(公式パンフレット参考)

 舞台は、円形の八百屋舞台を、石垣の階段が囲んでいる。その階段は天井近くまであり、傾斜がかなり急で迫力がある。舞台中央の上空には赤と薄いグレーの大きな布がつるされていて、さまざまに形を変えて場面を変換していく。終盤にはヘクターが布に映った自分を見ておののくが、ビジュアル的にも印象に残る場面になっていた。

 衣装は現代風でキャラクターの個性が際立ち面白い。男性は主に軍服だが、トロイ側とギリシャ側でくっきりと差をつけている。素朴なトロイと、粋なギリシャというイメージ。トロイ軍はカーキ色がメインで、白黒のスカーフをいろいろな使い方をして個性を出す。トロイラスはカーキのモッズコートに黒の上下、ヘクターはカーキ上下に茶色のマント、パリス(浅野雅博)はカーキのトレンチコートといった感じ。ギリシャ軍は迷彩がメイン。アガメムノン(鍛冶直人)はブラウン迷彩のマント、ダイアミディーズは黒革ジャケットにカーキ迷彩Tシャツ、ユリシーズ(今井)はグレー迷彩の上下……など、個が際立ちおしゃれな印象だ。現代的な衣装が、古典の物語を身近な物語と結びつけるのに一役買っている。

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