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特集 (3)400年前の物語が今と重なり、シンプルに響く

2015年7月29日更新
写真:「トロイラスとクレシダ」公演から=撮影・細野晋司(世田谷パブリックシアター提供) 「トロイラスとクレシダ」公演から=撮影・細野晋司(世田谷パブリックシアター提供)

 岡本、吉田、渡辺、今井、横田、江守が適材適所に配役されていて、あまりのハマりようが心地いい。もちろん、それぞれの技量がなせる芝居だが、配役の妙がここまで味わえる作品も少ない。ハマり過ぎていて、芝居というのを忘れそうになった。

 そのなかで、特に印象に残ったのは、吉田と横田だ。対極の役柄で、それぞれの軍で一番強い男だ。吉田は、とにかくかっこよかった。見た目も含めていわゆるヒーロー的なかっこよさ。横田は、ドレッドヘアに入れ墨などの色物的衣装も相まって、直情的なバカさと残忍さが暑苦しいほどだ。

 そもそものトロイ戦争のきっかけは男女問題。パリスがギリシャの人妻を奪ったことから国同士の戦争へと発展した。息子の不始末を家族をあげて拭うという不条理のなかで、ヘクターほどの真っすぐないい男が、最終的にアキリーズのひきょうな手段で命を落とすのがなんともやりきれない。されど、それが現実でもある。吉田の潔さが悲しいほどに物語の中で輝いていた。

 さまざまな要素が積み重なることがリアルな人間生活だ。愛、戦い、笑い、悲しみ……私たちの日常生活に置き換えて考えてみても、それは表裏一体。「トロイラスとクレシダ」は約400年前に書かれた古代の物語だが、今を生きる私たちと重なり、シンプルに響いた。

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◆「トロイラスとクレシダ」
《東京公演》2015年7月15日(水)~8月2日(日) 世田谷パブリックシアター
《石川公演》2015年8月7日(金)~9日(日) 能登演劇堂
《兵庫公演》2015年8月15日(土)~16日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
《岐阜公演》2015年8月20日(木) 大垣市民会館 大ホール
《滋賀公演》2015年8月23日(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2015/07/post_405.html

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーランスのフォトグラファー、ライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。