マイコンテンツ

ここから本文エリア

お知らせ

WEBRONZA × STARFILE 最新記事はこちら
  • スターファイルは2016年12月1日から、朝日新聞デジタルのサイトWEBRONZA文化・エンタメジャンルに場所を移し、記事を配信しています。これに伴い、11月24日から、過去のコンテンツを全文無料公開しました。12月1日以降は、WEBRONZAの購読・解約ページより手続きをお願い致します。
新着フォトギャラリー
写真 写真 写真 写真 写真 写真

特集 【インタビュー】「ラ・マンチャの男」出演
霧矢大夢、自然体で……そしたらファミリーになれるかな

2015年8月14日更新

 ミュージカル「ラ・マンチャの男」の制作発表記者会見が東京都内で開催された。「ラ・マンチャの男」といえば松本幸四郎。1969年の日本初演以来50年近く、ずっとドン・キホーテ役としてこの作品に挑み続け、1970年にはブロードウェーから招待を受けて、全編英語のセリフで演じた経験もある幸四郎にとって、もはやこの作品はライフワークともいえるだろう。(演劇ジャーナリスト・中本千晶)

 会見には幸四郎の他、霧矢大夢(アルドンザ役)、駒田一(サンチョ役)、ラフルアー宮澤エマ(アントニア役)、宮川浩(カラスコ役)、上條恒彦(牢名主役)ら主要キャストが顔をそろえた。また、抽選で選ばれた150人の一般オーディエンスも参加した。会場の一角には、脚本家の故デール・ワッサーマン氏が「最もふさわしい人に」と妻に託し、幸四郎に贈られたトニー賞のトロフィーも花を添えていた。

 会見の冒頭で、まず幸四郎は「皆さまのおかげで、またラ・マンチャの灯がともりました」と感謝のひとこと。幸四郎にとって8人目のアルドンザ役になるという霧矢大夢は「ラ・マンチャの空気がすっかりできあがっている中に入るのが夢のようだが、しっかりついていきたい」と緊張の面持ちだった。

 報道陣からの質問コーナーでは「皆さんの『見果てぬ夢』は何ですか?」という問いに対しては「戦い続ける姿勢です。この仕事を続けるためには大事だと思う」(駒田)、「役者を続けられることが夢です。正直、やめようかなと思ったこともあったので」(宮川)という、自らの役者人生をドン・キホーテに重ね合わせるような回答。いっぽうで、上條恒彦は「太る太るといいながら夜中にラーメンを食べ続ける人生で、75になるけれど夢は何も達成していない」とユーモラスに語って年の功を見せた。

 その中でも「40年間、やっぱり夢は破れたし、失望もしてきた……だからこそこの『ラ・マンチャの男』という作品があり続けるのでは?」という幸四郎の言葉は、ひときわ重みがあり、この作品の持つ深い魅力を改めて感じさせられた。

 会見の締めくくりには、登壇者に加えて他の出演者も合流し、総勢33人による「見果てぬ夢」の大合唱が行われた。さらに、サプライズの「カーテンコール」として、幸四郎が英語での「見果てぬ夢」のソロも披露。サンチョ役の駒田一がささげる杖を手に歌う姿はまさにドン・キホーテそのもので、会場は一気に「ラ・マンチャ」の世界に引き込まれた。

 また、この後スターファイルでは、アルドンザ役を演じる霧矢大夢にインタビューをした。大役に臨むにあたっての心構えから、役者としての「職人魂」の話、愛犬フィンチへの思いに至るまで語ってもらった。

 共演する松本幸四郎に対しては「見果てぬ夢を追い求めて終わりのない旅を続けてこられた、まさしくドン・キホーテそのもののような方」という印象。「幸四郎さん自身が何かおっしゃっても、ドン・キホーテの言葉なのかと錯覚を起こすぐらい」だという。

 固い結束が感じられる「ラ・マンチャ」ファミリーに対しては、「自然体で稽古していくしかない。そのうちに壁がはがれていって、距離が縮まったり遠のいたり、ひと悶着(もんちゃく)あったり、そういうことの繰り返しで、やっと私もファミリーに入れていただけるのかも」と謙虚な構えだ。

 そこから話は役者談義に及ぶ。制作発表で幸四郎が「役者は職人であらねば」と話したことに対しても、「そのお気持ちはよくわかる」と共感する。自分自身のことも「天性の感受性や表現力というより、地道な積み重ねで勝負するタイプ」と分析する霧矢らしく、「舞台はいろんなことを計算してコントロールしてやっていくことの繰り返し。そのための体調面や精神面の自己管理が要求されると思う」と語った。

 読売演劇大賞の受賞に関しても「ここからがまたスタートだなという気持ち」だそうだ。また、この作品のテーマでもある「あるべき姿のために戦っていますか?」との問いに対しては、役者に限らず人間誰しも戦っているとしながらも、「戦うべきだと思います。せっかくいただいた命なので、戦わないと損」と力強く締めくくった。

 場末の給仕係の女でありながらも、理想の姫君だと思い込まれてしまうアルドンザ、人としての両極を持ったこの難役に向けて、役者・霧矢大夢がどう戦うかに注目だ。

〈霧矢大夢さんプロフィル〉
 1994年、宝塚歌劇団入団。入団当初から数多くの舞台に出演。2009年、文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。10年、月組トップスターに就任。12年4月、宝塚歌劇団を退団。同年、1stコンサート「Amore e Musica ~夢は果てしなく…」を開催。退団後の出演作品は、「ヴェローナの二紳士」「I DO!I DO!」「オーシャンズ11」「マイ・フェア・レディ」。15年、読売演劇大賞 優秀女優賞受賞。

(霧矢大夢公式サイト:http://www.hiromukiriya.com/

続き(有料部分)を読む

【フォトギャラリーはこちら】

◆ミュージカル「ラ・マンチャの男」
《大阪公演》2015年9月2日(水)~21日(月・祝) シアターBRAVA!
《長野公演》2015年9月26日(土)~28日(月) まつもと市民芸術館
《東京公演》2015年10月4日(日)~27日(火) 帝国劇場
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/lamancha/index.html

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』(東京堂出版)、『タカラヅカ100年100問100答』(東京堂出版)など。2014年11月に『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。