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特集 (1)三つの世界を展開、物語に深みを与えひきつける

2015年9月16日更新
写真:「ラ・マンチャの男」シアターBRAVA!公演から=東宝演劇部提供 「ラ・マンチャの男」シアターBRAVA!公演から=東宝演劇部提供

 ミュージカル「ラ・マンチャの男」は、ミゲール・デ・セルバンテスの代表作「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」を原作にして作られた作品で、16世紀末のスペイン・セビリアの牢獄が舞台。教会を侮辱した罪で、作家セルバンテス(幸四郎)が従僕(駒田一)と共に投獄される場面から始まる。新入りのセルバンテスに牢名主(上條恒彦)が詰問し、牢内で裁判が始まると、セルバンテスは申し開きをするべく、囚人全員を役者に見立てて即興劇をしようと提案する。

 セルバンテスが演じるのは、田舎の老人アロンソ・キハーナ。騎士道物語に没頭したキハーナは、自らを何世紀も前に姿を消した遍歴の騎士ドン・キホーテと思い込み、悪を滅ぼそうと従僕のサンチョ(駒田)と共に世界へと旅に出る。途中、城と錯覚して立ち寄った宿屋でキホーテはアルドンザ(霧矢)という女性と出会う。実際には男たちの夜の相手をするあばずれ女だが、キホーテにとっては“憧れの麗しき姫ドルシネア”その人にしか見えない。姫のために身を捧げようと決意するキホーテの言葉に揺れ動くアルドンザ。次第にキホーテに心を開き、変わろうとするアルドンザだったが……。

 セルバンテスが投獄された“現実の世界”で、“劇中劇”とその劇の中での“キハーナの妄想の世界”が展開する、三重構造の舞台。複雑に思われるかもしれないが、この構造があることで物語に緩急や深みが与えられ、見る者をひきつける要素のひとつとなっている。

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