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特集 【インタビュー】ジェットラグプロデュース「罠」主演
緒月遠麻、主演は向いていない……でも「役者魂」が勝った

2015年12月4日更新

 宝塚時代、二枚目からコミカルな役まで演じられる実力派として観客を魅了した緒月遠麻が、ジェットラグプロデュース「罠(わな)」に主演する。スターファイルでは、意外にも「罠」が初主演という緒月にお話を聞いた。インタビューは、「罠」出演を控えた今の心境から、宝塚を卒業してからの充実の時間、さらには役者としてこだわってきたことにまで及んだ。(演劇ジャーナリスト・中本千晶)

 じつは今回の話、一度は断ったという。「自分は支える気質」だという緒月は、主演と聞いて「私には向いていないな」と思ったそうだ。ところが、あらすじを読ませてもらうと「役者魂」に火がついてしまった。主演への不安と作品の面白さ、両者を「天秤(てんびん)にかけた結果、役者が勝っちゃった」、それで引き受けることにした。

 それだけに今回の作品への思い入れは強い。「罠」というタイトルのとおり、だましだまされ、思いがけない展開が続く。緒月も「台本を読み進めるたびに『ええっ!』と叫んでしまった」そうだ。だが、サスペンス風味かと思いきやコミカルな部分もあり、緒月の持ち味も発揮されそう。緒月演じる女優の役も、当初はクールなイメージだったのが、だんだん緒月本来のキャラクターに近づいているのだという。

 「ニジンスキー」のセルゲイ・ディアギレフ、「翼ある人びと」のロベルト・シューマン、そして「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーなど、振り返ってみても印象的な役が本当に多い緒月。今回の「罠」のオファーも、プロデューサーが「ベルサイユのばら」のアンドレを見て一目ぼれしたのがきっかけだったという。常にマイペースで役に真摯(しんし)に向き合って来た印象があるが、やはり「自分をスターだと意識したことはない」。「宝塚のスターシステムに翻弄(ほんろう)されたことは?」と聞いても、「全然。戦ってきた相手はいつも自分でした」ときっぱり。

 いっぽうで「客席を見るのも恥ずかしかった」というシャイな部分もあり、「男役として、もっとお客様の期待に応えられたらよかったかな」とも振り返る。だが、先日出演した舞台「希望のホシ」では、男役の殻を脱ぎ捨てられたためか初めて客席をしっかりと見ることができて、「男役ではない自分を応援してくれる人がこんなにいるということが、すごくうれしかった」と話す。

 今年の2月に宝塚を卒業してから、朗読劇、2度のディナーショー、「希望のホシ」での石原軍団との共演と、「濃い日々」が続いている。「私の宝塚卒業って、本当に今年だったのかな?」と感じてしまうほどだ。ブログも始めたが、「私=おづき。」というユニークなタイトルにも、役者として自分を偽らず、人に流されることなく、変わらずやっていきたいという思いをこめたのだという。

 「私の勘はよく当たるんです」と自認する緒月が「絶対に面白い」と太鼓判を押す「罠」。宝塚卒業後も「役者」としてさらなる進化を続ける緒月の新たな挑戦が楽しみな一作になりそうだ。

〈緒月遠麻さんプロフィル〉
 名古屋市出身。2000年宝塚歌劇団入団。「源氏物語 あさきゆめみし」で初舞台を踏み、雪組に配属。「ロミオとジュリエット」「ニジンスキー」などに出演後、12年に宙組に組替え。「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」「モンテ・クリスト伯」「翼ある人びと」「ベルサイユのばら」などに出演。15年「白夜の誓い」で宝塚歌劇団を退団。退団後は、朗読劇「約束」に出演し、ディナーショーも開催。10月には退団後の初舞台「希望のホシ」に出演した。

(緒月遠麻オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/ozuki-toma/

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◆ジェットラグプロデュース「罠」
《東京公演》2016年1月8日(金)~11日(月) 紀伊國屋ホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.jetlag.jp/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)など。2015年10月に『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。