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特集 【公演評】「グランドホテル」
二つの結末だが、起こっている「事実」は変わらない

2016年4月26日更新
写真:「グランドホテル」REDチーム公演から=提供(C)GEKKO 「グランドホテル」REDチーム公演から=提供(C)GEKKO

 ミュージカル「グランドホテル」が赤坂ACTシアターで上演された(名古屋・大阪公演あり)。ヴィッキー・バウムの小説を原作とし、1989年ブロードウェーで、トミー・チューン演出で初演され大ヒットしたミュージカルだ。今回新たに演出を手がけるのはイギリスの若き才能、トム・サザーランド。彼が新たに仕掛けるのは何と「まったく異なる二つの結末」だ。(演劇ジャーナリスト・中本千晶)

 時は1928年、ベルリン。豪華なグランドホテルに集う人々の群像劇だ。不治の病を宣告された冴(さ)えない会計士オットー、魅力的な美男だが実は金に困っているガイゲルン男爵、引退間際のバレリーナ・グルシンスカヤと、彼女に献身的に仕える秘書ラファエラ、ハリウッド女優を夢見るタイピスト・フレムシェン、経営の危機に直面する2代目社長プライジング、そんな彼らを冷めた目で眺め続ける医師オッテンシュラッグ……様々な人が交錯し、様々なドラマが生まれては消える。休憩なしノンストップで駆け抜ける2時間強があっという間に感じられる。

 この作品、主な登場人物がダブルキャストになっており、REDチームとGREENチームがある。二つのチームで演出も結末もまったく違うというユニークな趣向だ。GREENチームが「悲劇的エンディング」であるのに対し、REDチームは「ハッピーエンディング」だと開幕前から予告されていた。

 私は最初にGREENチームを見て、何ともやるせない、いたたまれない気持ちになった。一刻も早くREDチームが見たくてたまらなくなった。そしてREDチーム観劇後はとても幸せな気分になり、危うく「これはREDチームのほうがいい!」との安直な判断を下しそうになってしまった。

 だが、そこでふと立ち止まって考えた。これほどまでにREDチームから幸せを感じられるのは、先にGREENチームを見たからではないか?

 どちらのチームの物語も、起こっている「事実」は何一つ変わらない。ひとつの「事実」を表と裏、二つの方向から見た物語なのだ。あるいは、日常的な目線と、少し遠く離れたところ、二つの立ち位置から見た物語といっていいのかもしれない。

※会員ページでは、さらにくわしく舞台の様子をお伝えしています。ぜひご覧ください。

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◆ミュージカル「グランドホテル」
《東京公演》2016年4月9日(土)~24日(日) 赤坂ACTシアター
《名古屋公演》2016年4月27日(水)~28日(木) 愛知県芸術劇場大ホール
《大阪公演》2016年5月5日(木・祝)~8日(日) 梅田芸術劇場メインホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://musical-grandhotel.com/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)など。2015年10月に『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。