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特集 (2)愛希、強さと女性らしさを併せ持つ魅力的な帰蝶を

2016年6月27日更新
写真:「NOBUNAGA」公演から、帰蝶役の愛希れいか=撮影・岸隆子 「NOBUNAGA」公演から、帰蝶役の愛希れいか=撮影・岸隆子

――戦国乱世。尾張の戦国大名・織田信長(龍)は、桶狭間に進攻した今川義元(光月るう)を追いつめ、家臣の羽柴秀吉(美弥)や前田利家(輝月ゆうま)、妻の帰蝶(愛希)らとともに勝利をおさめた。帰蝶の亡き父の故郷、美濃をも滅ぼし、天下統一への野望を燃やす信長は、足利義昭(沙央)を将軍に奉じて都へ上り、その勢いはもはや誰にも止めることはできない。並み居る敵を容赦なく滅ぼし続け、信長はやがて「魔王」とまで呼ばれるようになっていた。

 信長の妻・帰蝶は、マムシと恐れられた斎藤道三の娘で聡明(そうめい)な女性です。史実には詳細に残っていないため、宝塚らしく自由に描かれた人物の一人でしょう。愛希さんは芯の強さと信長を慕う女性らしさを併せ持つ魅力的な帰蝶を作り上げ、桶狭間ではなぎなたを華麗に操って戦いの先陣を切るなど、身体能力の高さもふんだんに発揮していました。

 信長の家臣でひときわ目を引くのは、羽柴秀吉役の美弥さんです。信長から「猿、猿!」と常に呼ばれている、のちの豊臣秀吉ですが、2015年大劇場公演「1789―バスティーユの恋人たち―」でのアルトワ伯をほうふつとさせる盛りあげた髪と妖艶(ようえん)なメイクが麗しすぎて、史実を忘れてしまいそう。ほかの家臣とは違って、のびのびとした振る舞いと陽気なキャラクターがチャーミングですが、信長を慕いながらも心の奥底に秘めた野心が大きな瞳に宿る瞬間は、思わずぞくっとするほどセクシーで、美弥さんらしさがのぞきます。

 足利義昭には専科の沙央さん。こちらは正しい時代劇風のスタイルで、信長にいいように操られてしまう、ちょっと気弱な将軍を演じています。まだ若い沙央さんですが、男女問わず幅広い年齢の役を公演ごとに演じ分け、今回も専科さんらしい活躍を見せていました。家臣の中では前田利家役の輝月さんも、精悍(せいかん)さが光っていて目を引きます。

 義昭の家臣・明智光秀は、凪七さんがクールに演じていました。光秀といえば最終的に信長を倒す裏切り者という印象がありますが、長らく信長に心酔し、優れた才気を発揮する謎めいた人物でもあります。美弥さんとコンビのように登場していましたが、秀吉の軽さとは対照的に落ち着いた雰囲気が印象的。この公演を最後に専科へと異動することが決まり、ファンを驚かせましたが、誠実でやさしい演技が組を越えて見られるのはうれしい限りです。バウホール公演「オイディプス王」で見せたような女役の美しさにも、またお目にかかれるかもしれませんね。

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