マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集 (6)2.5次元ミュージカルでの経験は「誇り」です

2016年7月29日更新
写真:太田基裕(左)と廣瀬智紀=岩村美佳撮影 太田基裕(左)と廣瀬智紀=岩村美佳撮影

――お2人が共演された「弱虫ペダル」のような「2.5次元ミュージカル」が、今注目を集めていますが、今回の「スカーレット・ピンパーネル」を見にこられる方々の中には、舞台は好きだけど「2.5次元ミュージカルって何?」「『弱虫ペダル』って何?」っていう方もいらっしゃると思います。そんな方々に「弱虫ペダル」のような作品の魅力を説明するとしたら?

太田:僕はもともと普段から漫画を読むタイプではなくて、舞台への出演がきっかけで読むようになったので、同じ感覚は持っているはずなんです。「2.5だからちょっと無理かな」と思っちゃう方もいらっしゃいますが、本当に見て楽しめる作品ばかりなので、あまり偏見を持たずに見て欲しいですね。自分自身も普通のお芝居と同じ感覚で演じていますし、別にそんな変な意識を持ってやってないから、これからも機会があれば2.5もやりたいと普通に思います。

廣瀬:僕も太田くんと一緒で、2.5次元ということに全然こだわりはないです。その作品が2.5次元だとか、僕たちが2.5次元イケメン俳優と言われたりとか……。

太田:自分で言うなよ(笑)。

廣瀬:よく質問されるんです。「そういう風に言われることに対してどう思いますか?」とか。そういうことも全然気にしていないんです。

太田:そうだよね。

廣瀬:でも、僕はそういうところに助けていただいて、こうしていろんな作品と出会うことができているので、素直にありがたいというのもあります。

太田:誇りだよね。

廣瀬:そうだね。本当に誇りです。

太田:ただ、「『テニスの王子様』の人でしょ?」みたいな感じで言われたりすることはあるんです。でも、「テニスの王子様」だって誇りを持ってやっていましたから、別に隠すこともないし、これからも好きだし。

廣瀬:そうそう。何が違うかって、原作のキャラクターがあるというところだけなんです。3次元に原作のキャラクターが、生きて存在しているというだけで原作ファンはすごくうれしいし、2.5次元の作品って、ただその役がいるだけで喜ばれてしまうケースも多いんです。そこで、どう向き合っていけばいいのかという課題はあります。でも、一つのお芝居として届けるときの熱はまったく変わらないですし、僕たちがさせていただいた「弱虫ペダル」は、西田シャトナーさんの演出方法が斬新で、やっている側もすごく楽しかったです。

――ハンドルだけをもって、自転車に乗っている姿を表現するという手法は斬新ですよね。やっている側はどうなんですか?

廣瀬:最初は「そういう風に表すんだ!」とびっくりしましたが、みんな違和感なくやっていました。そこに自転車が見えて「楽しい!」と思えましたから。でも、初演のときはやっぱり大変だったろうなと思います。

太田:初日が開くまでは「受け入れられるのか? これ」と思いながら稽古をしていました。でも、初日が開いて、お客さまに自然に受け入れられてるのを実感して、「ああ、この作品は面白いな」と改めて思いましたね。

――お二人がきっかけで、お客さまの興味の範囲も広がるといいですね。

二人:そうですね。

――盛り上がっているうちに、いい時間になってしまいました。最後に、せっかくお二人なので、相手の方へのエールと、ご自身の意気込みをお願いします。

廣瀬:なるほど。

太田:それ、成立しないだろ(笑)。

廣瀬:いやいや、しますよ。エルトン役、太田基裕くんへ。

太田:気持ち悪いなー。

廣瀬:(笑)。いろんな作品で共演してすごく仲良くさせてもらっているし、ミュージカルの先輩でもあるので、頼れるところは頼りにしながら、盗めるところはどんどん盗んでいって、同じ土俵で楽しいミュージカルが作れたらと思います。ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします。

――では太田さん、どうぞ。

廣瀬:あれ、僕の意気込みは……。

――あ、ゴメンなさい!!

廣瀬:でも、今のに若干混ざっていたから、いいのかな?

――いや、でも何か言い残したことがあれば。

廣瀬:そうですね。初めてミュージカルに肌で触れたときの感覚を思い出しつつ、自分自身が全身全霊で楽しみながら、お客様にちゃんとお届けしたいと思います。ご期待ください!

太田:ハル役の廣瀬くんはですね、何でも言える仲なので、稽古中に悩みや苦しいことが出てきたときも、たぶん最初に話すのは彼だと思うんです。自分にとってはオアシスのような存在であり、稽古でもきっとお世話になると思うので、よろしくお願いします……ってことなんだけど(笑)。やだな、何だか気持ち悪いな。

廣瀬:(笑)。意気込みいこう。

太田:意気込みは……そうですね。たくさんの方が見にきてくださると思うので、皆さんが少しでも感動して、笑顔になって帰ってくれたらいいなと本当に思います。一生懸命がんばって、自分らしいエルトンを表現したいと思います。

――楽しみにしています! ありがとうございました。

<インタビューを終えて>
 いつもインタビューの最初に読者プレゼント用のサインをもらうのだが、今回はすでにこの時点から二人で「ああしよう、こうしよう」と大盛り上がりだった。3枚中1枚は廣瀬さんのイタズラ心が発揮されたスペシャルなサイン色紙となったので、乞うご期待。その後もインタビューは弟キャラ廣瀬さんによる予想のナナメ上をいく発言と、兄貴キャラ太田さんによる「やれやれ」な感じの大人の切り返しというペースで楽しく進んだ。きっとお稽古場でもこんな感じで会話が弾むのだろう。

 そんな中で「2.5次元であろうとなかろうと、演じることには変わりない」ときっぱり答えたお二人の姿が印象的だった。今の時代ならではの自分たちの役割を果たそうとしているお二人を、とても心強く感じたインタビューでもあった。

 じつはこの後、太田さんご出演の「ジャージー・ボーイズ」を見た。インタビューでは「本格的なミュージカルは初めてで」との発言があったが、どうしてどうして。一癖あるキャラクターを堂々と演じ切り、観客にも強烈な印象を残したにちがいない。「あんなことを言っておきながら、こんなクオリティー出してくるなんて」……廣瀬さんの言葉は、まさにその通りだと思ったのだった。

戻る

【フォトギャラリーはこちら】

◆ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」
《東京公演》2016年10月19日(木)~26日(水) 赤坂ACTシアター
《大阪公演》2016年10月30日(日)~11月7日(月) 梅田芸術劇場メインホール
《東京凱旋公演》2016年11月24日(木)~29日(火) 東京国際フォーラム ホールC
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.umegei.com/the-scarlet-pimpernel/index.html

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)など。2015年10月に『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。