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特集 【トピックス】「陥没」
オリンピックとの因縁に翻弄される人々の群像劇

2016年10月12日更新
写真:シアターコクーン・オンレパートリー2017+キューブ20th,2017「陥没」=キューブ提供 シアターコクーン・オンレパートリー2017+キューブ20th,2017「陥没」=キューブ提供

 2009年の「東京月光魔曲」と2010年の「黴菌(ばいきん)」で、昭和の東京をモチーフに作品を発表し、「昭和三部作」を目指したケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)。2017年2月、7年ぶりに完結編となる3作目が誕生する。東京オリンピックに翻弄(ほんろう)される人々を通して、東京と昭和を照射するKERAの新作書き下ろしだ。出演は、井上芳雄、小池栄子、瀬戸康史、生瀬勝久ほか。(キューブ提供/編集・真名子陽子〈ウエストプラン〉)

 第1弾「東京月光魔曲」は、経済的な発達が始まり、庶民の生活にもモダンと呼ばれる西洋趣味が入り込んで、独自の文化を生み出した昭和初期が舞台。カフェ、探偵事務所、富豪の屋敷、小さな民家など、次々と場所を変えて描かれたのは、猟奇的な殺人事件、姉と弟の禁断の愛、新興宗教などで、東京が華やかさをまとうほど濃くなる影の部分だった。

 第2弾「黴菌」の舞台となったのは、恐慌と戦争で価値観の転換を迫られる昭和中期。没落に向かう富豪一族とその周囲の人々を描いて、ひとつの家から生まれるシニカルな喜劇、デリケートな悲劇を、時代全体に投影してみせた。

 希代のストーリーテラーにとって、自身が生まれ育った東京と、懐かしさと未知が混在する昭和は、つねに好奇心と創造性を刺激する対象だ。

 そして「昭和三部作」の締めくくりにKERAが選んだのは、東京オリンピックを目前に控えた1962年ごろ。約50年前の日本を、空前の高揚感で包んだ東京オリンピック。それは、わずかな年月で敗戦から復活を遂げたこの国が、輝かしい成果を世界に示す晴れの舞台だった。メインであるスポーツ競技とは別のところで、道路の拡張と舗装、区画整理、さまざまな施設やビルの建設、新幹線の走行など、真新しく、立派になっていく街の様子を、当時の人々の大半は誇らしい思いで眺め、興奮したはずだ。それを機に一獲千金をもくろんだ人も、実際に豊かになった人も少なくない。さまざまな向上心、野心、情熱、欲望が、工事の音ともにこの街に渦巻いただろう。だが一方で、その時代、その場所に居合わせながら、なぜか時流に乗り遅れた人々もいた。完結編となる「陥没」は、それでも捨て切れないオリンピックとの因縁に翻弄される人々の群像劇である。

 <作・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチコメント>
 昭和4年=世界大恐慌の年を描いた「東京月光魔曲」(2009年)、昭和20年=敗戦の年を描いた「黴菌」(2010年)に続く「昭和三部作」完結編の舞台として選んだのは、東京オリンピックを二年後に控えた昭和37年の新宿のはずれ。建設されたはよいが、オープンにこぎつけられそうにない、あるレクリエーション施設。高度成長期で日本中が浮かれる中、どういうわけか時代の溝にはまってしまった一組の婚約中のカップルと、2人を取り巻く人々を描く群像劇になるでしょう。シリーズのラストを飾るにふさわしい……と気持ちよくいい放てるような分かりやすい派手さには欠ける舞台かもしれません。明示されないドラマにこそ豊かさがあると信じ、この手だれぞろいのキャストでのみ実現可能な、デリケートな会話劇を作るつもりです。ご期待いただきたい。(チラシコメントより)

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◆シアターコクーン・オンレパートリー2017+キューブ20th,2017
「陥没」
《東京公演》2017年2月4日(土)~26日(日) Bunkamura シアターコクーン
《大阪公演》2017年3月3日(金)~6日(月) 森ノ宮ピロティホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://cubeinc.co.jp/stage/info/kanbotsu.html