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特集 (4)正塚作品、宝塚オリジナルの一つの伝統的な形

2016年10月20日更新
写真:「私立探偵ケイレブ・ハント」公演から、ケイレブ・ハント役の早霧せいな(中央)=岸隆子撮影 「私立探偵ケイレブ・ハント」公演から、ケイレブ・ハント役の早霧せいな(中央)=岸隆子撮影

――メキシコ人夫婦が探す娘はアデルだった。病気の父の治療費のためアメリカで働いていたが突然、連絡が取れなくなったという。調べるほどに深まるマックスアクターズプロモーションの闇。社長のマクシミリアン(月城)が怪しいとにらんだケイレブは、刑事のホレイショー(彩凪)とも連携しながら動き出す。やがてアデルの親友ハリエット(星乃あんり)が行方不明になり、アデルはマクシミリアンの愛人だったことが発覚。事件の謎が深まる中、ケイレブは思わぬ行動に走り出す……。

 彩凪さん演じるホレイショーは、ベージュのゆるめなスーツの下はアロハシャツという軟派な装いがいかにも崩れた刑事風。皮肉屋ですが、常に冷静なデキる男です。その後ろをついていく部下のライアンを演じるのは、永久輝せあさん。ちょっととぼけたキャラクターですが、ルックスの美しさはやはりピカイチでした。

 ケイレブの戦友ナイジェルを演じる香綾さんも見逃せません。腕利きの元狙撃兵という渋い役どころで、かつてはその腕で大勢の仲間を救った過去がありますが、今は何をしているのか、どこに住んでいるのかも明かそうとしません。訳アリ風で謎に満ちた雰囲気を残したまま、最後にはひっそりといい仕事をするのが憎い。香綾さんは歌唱力も高く、二枚目から三枚目までこなせる幅広い演技力を持ち、毎回、どんな役になるのか楽しみなほど。雪組芝居に欠かせない役者さんとして、ますますの活躍を期待します。

 マクシミリアンを演じるのは、来年の2月に月組へ異動することが決まった月城さん。端正な顔立ちを生かして、いかにも影であくどいことをやっていそうな雰囲気を漂わせています。表向きは紳士ですが、アデルには冷酷な顔を見せるなど、悪人に徹しているのがかえって魅力的かも。おとなしい印象がありましたが、このところ押し出しの強さも感じられ、たくましくなってきました。新天地への異動はおおいなるステップアップとなりそうですね。

 舞台の装置はごくシンプルですが、盆がまわったり、せり上がったりを繰り返し、奥行きや広さを感じさせました。特に激しい展開やどんでん返しなどはなく、淡々と過ぎていく時間や、出演者のセリフまわしが正塚先生ならではで、これもまた宝塚オリジナルの一つの伝統的な形といえるでしょう。最近は特にアクティブな作品が連続していましたので、かえって新鮮だったかもしれません。

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