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特集 (1)島の方々が優しくて、いろいろ連れて行ってくれた

2016年10月21日更新
写真:松下洸平=岩村美佳撮影 松下洸平=岩村美佳撮影

――「木の上の軍隊」では、2人の兵士がガジュマルの木の上で2年もの年月を過ごすことになるわけですが、実際にその木を訪ねて沖縄の伊江島まで行かれたとか?

 はい! 行きました。もともとはひとりでふら~っと行って、その木を見て帰ってくるつもりだったのですが、たまたまそれを、こまつ座の井上麻矢さんにお話ししたら、「ぜひ、私も一緒に」と言ってくださったんです。伊江島での戦争体験をお話しされている方や、今回僕が演じる「新兵」のモデルになった佐次田秀順さんの息子さんにもわざわざ来ていただいて、いろいろなお話をうかがうことができました。

――琉球新報にも掲載されていました。

 そうなんですよ! とても大きく取り上げていただきました。島の方々が優しくて、いろいろなところに連れて行ってくださったんです。伊江島には集団自決があったガマとか、慰安所とか、戦争の傷痕がまだいくつか残っているのですが、それを島の方々のアテンドで見せてもらったり、伊江島のシンボルになっている城山(ぐすくやま)にも一緒に登ったりしました。島の真ん中にある、岩でできたすごく大きな山で、頂上から島全体がきれいに見えるんです。本当に、ひとりで行かなくてよかった(笑)。

――佐次田さんの息子さんとは、どんなお話をされたんですか?

 すごく印象的だったのは、「どんなお父さんでしたか?」という質問に対して、「兄弟のような人だった」とおっしゃったことです。もちろん父親でもあるけれど、お兄さんのようでもあり、弟のようでもあり、友達のようでもあり……ひと言で「優しい」と言ってしまえばそれまでなのに、「兄弟みたいな人だった」とおっしゃったんですよね。今回僕が演じる新兵も、とても無垢(むく)な青年なので、息子さんからその言葉を聞けたのは良かったと思いました。

 木を下りられてから、お父様は息子さんに当時の話をたくさんなさっていたようです。もともと大きなガジュマルの木の横に、もう一つ小さな木があって、最初はそちらに登ったのだそうです。ところが、そのとき上官が足をけがしていて、木から落っこっちゃったんですって。落ちたところは豚小屋で、佐次田さんはどうやって助けたらいいかがわからなくて、とりあえず上官は豚小屋の中に何日か隠れていたそうです。そしたらある日、アメリカの兵隊さんがふらっとやってきて、中に人がいるとは思わず、豚小屋におしっこをかけたんです。それで、やっぱりここにいては危ないからと、佐次田さんが下りて上官を担いで、大きなガジュマルの木の方に登ったんですって。でも、その話も何だか笑い話みたいに話してくれたんです。「たぶん、おしっこをかけたから、あの人の足は治ったんだなー」とか(笑)。

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