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特集 (4)音楽とはいつも肩組んで話せる。でも芝居は……

2016年10月21日更新
写真:松下洸平=岩村美佳撮影 松下洸平=岩村美佳撮影

――松下さんって役者さんでもあるけれど、絵もお描きになって音楽もされて、アートの方面で多才でいらっしゃいますが、そのバランスって、ご自身の中でどうなっているのでしょう?

 僕もわからなくなっていますね。どうしよう(笑)。わからないというか、難しいなといつも思うのですが、どれがなくなっても困るので、うまく付き合っていくしかないですよね。役者である自分もいるし、ミュージシャンとしても活動させていただいているし、まあ、絵は趣味でやっているだけですけど。役者としても、今回のような演目だけではなくて、僕は歌って踊るミュージカルをやらせてもらうこともありますし。でも、結局やれることは一人一個なんです。「せーの!」で同時にやることは絶対にできないから……スイッチングでしょうか? 心の中でスイッチングがうまくいけば苦労しないんですけどね。

――「カチッ!」ミュージシャンです、「カチッ!」役者になりました、という感じ?

 そう。でも、たいがい失敗するんです(笑)。そのことだけを極めている人は365日そのことだけを考えて生きているけれど、僕の場合は、たとえば「木の上の軍隊」が終わったら1週間後には自分のライブがあります。うまくスイッチングできればいいですが、やっぱりどうしても、引きずっちゃう部分はあるので……。

――でも、全部必要なんですよね?

 そうですね。必要とされているというよりも、たぶん自分自身が必要としているのだと思います。

――それはどうして?

 元々音楽でデビューしているというのもあるかもしれない。高校を卒業した18の年に「歌、やりたいな」と思って、この業界に入ったのですが、ちょうど自我に目覚める時期で、音楽にはとても助けられました。思春期ならではの悩み、夢を追いかけたり、誰かを好きになったり、若い頃に感じるすべてのそばに音楽があったので、僕と音楽はたぶん切り離せないものです。いつしか自分でも作ってみたいと思うようになり、歌詞を書いたり歌ったりすることで、「自分がここにいる」ことの表現を音楽がしてくれるようになりました。たぶん、自分をバランスよく保つ一番のツールだったんですね。

――そんな音楽に対して、芝居は何なんですか?

 芝居は……全然わからないんですよ。「自分にとって芝居って何だろう?」と、いつも考えています。こんなに大変で苦しいのに、どうして続けているのかが、わからないんですよね。でも、「自分にはこれしかない」とも思うし、じゃあ芝居をやめて別のことを、とも考えられないし……音楽とは、いつも肩組んで話せるんですよ。でも、芝居とは全然そうじゃない。それなのに、なぜこれほどひきつけられるのか。だって「木の上の軍隊」だって、たぶん楽しい気持ちにはならないですからね(笑)。「ああ、ハッピーだなー。早く明日が来ないかな」とは思えないですから。それなのに、どうしてこんなにやりたいと思ってしまうのか……不思議です。

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