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特集 (5)誰かに必要とされることがとてもうれしくて

2016年10月21日更新
写真:松下洸平=岩村美佳撮影 松下洸平=岩村美佳撮影

――では、役者である松下さんの夢とか目標って何ですか?

 夢……でも、「こまつ座」の作品に出るというのはかなったからなあ(笑)。

――夢の一つだったんですね。では、「こんな役者になりたい」という目標は?

 それもあまり考えないのですが、どうせやるなら自分にしかできないことをやりたいとは思います。僕、誰かに必要とされることがとてもうれしくて、人生の最期に「みんなに必要とされて終われて良かったな」と思って死ねたらいい。そのための今だと思うんですよ。今回のようないい作品に呼んでもらって、たくさんのお客さまが見にきてくれると、「自分は必要とされてるんだな」と実感できるし、「これを続けていかなきゃいけないな」とも思う。そんな風に生きていけば、たぶん「ああ良かった。誰かの役に立てたし、自分も満足がいく人生だった」と終われると思うから。

――まだお若いのに、なぜそこまで……。

 (笑)。でも、ずっとそんなことを考えているんです。

――それは、子どもの頃から?

 たぶん子どもの頃からだと思います。誰かに必要とされたいという気持ちが強いのかなあ? もしかしたらそうかもって、最近わかってきたんです。だから、そんな自分にとって俳優という仕事は、とてもやりがいがありますね。見てくださるお客さまが必ずいて、「元気をもらいました!」なんて言ってもらえるので。だから、「誰々みたいになりたい」とかじゃなく、「ずーっと必要とされる俳優でいたい」というのが目標ですね。

――松下さんの創造、クリエーティブの源泉って何ですか?

 何だろう……結局、同じ話に戻っちゃうんですけど、「自分の存在アピール」かな(笑)。それが、すべての元になっている気がする。自分がここに生きているんだってことを感じたいし、1人でも多くの人に感じてもらいたい。それがすべての原動力なのかもしれない。

 じゃあその気持ちはどこから出てくるのかというと、たぶんもっともっと深いところの話になってきて、小さい頃の経験とか、いろんなことがあって、今の自分になったと思うんです。歌を作るのも、自分の気持ちを誰かに聞いてもらいたいからだし、その歌を聞いて「私も頑張ろう」とか「わかるわかる、その気持ち」と共感していただきたいから、というのもあります。

――では最後に、そんな松下さんからこの作品のPRをお願いします。

 はい。初演を見た方もたくさんいらっしゃると思いますが、今回は自分にしかできない新兵を演じたいなと思います。

――初演と変わってくるところはあるのですか?

 演出は多少変わるみたいですね。もちろん、俳優が変われば演目の雰囲気も変わると思います。悲しいとか、苦しいとか、戦争っていやだなということだけじゃなくて、少しだけ希望も与えられる作品にできたらいいなと思っているので、そこを目指して頑張るのみ、です! 見にきてください。

――楽しみにしています。

 ありがとうございます!

<インタビューを終えて>
 部屋に入り、松下さんにお目にかかった瞬間に、そのふわーっとした空気感になぜか圧倒されてしまった。「ふわっとした感じ」と「圧倒」は何だか矛盾しているが、とにかく「うわっ!」と思ってしまったのだ。そのお話からはユニークな感性がにじみ出ていて、後から原稿をまとめていても「これ見出しにしたい!」というフレーズが次から次へと出てくるインタビューだった。

 そんな松下さんに勝手ながらキャッチフレーズをつけさせていただくならば「ほほ笑ましい野心家」といったところだろうか。ふわっとした癒やされるイメージ、でも中身は野心でギラギラ。まさに「ギャップ萌(も)え」させてくれる存在だ。自己の存在価値への渇望、それを臆面もなく語れてしまう純粋さがまぶしかった。これこそ若さゆえの特権じゃないだろうかと、ちょっとうらやましくなってしまったのだった。

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◆こまつ座 第115回公演「木の上の軍隊」
《東京公演》2016年11月10日(木)~27日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.komatsuza.co.jp/

★「木の上の軍隊」スペシャルイベント
〈伊江島写真プレゼント〉11月12日(土)14:00・18:30公演へご来場の方
〈アフタートークショー・蓬莱竜太〉11月14日(月)14:00公演後
〈アフタートークショー・宮沢和史〉11月18日(金)14:00公演後
〈アフタートークショー・山西惇、松下洸平、普天間かおり〉11月19日(土)18:30公演後
〈ガジュマルの葉プレゼント〉11月23日(水・祝)14:00・18:30公演ヘご来場の方
〈アフタートークショー・井上麻矢、普天間かおり〉11月26日(土)18:30公演後
※詳細は公式ホームページでご確認ください。
http://www.komatsuza.co.jp/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』『タカラヅカ流日本史』『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(東京堂出版)など。2016年10月に『宝塚歌劇に誘う7つの扉』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。

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