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特集 【トピックス】「繻子の靴―四日間のスペイン芝居」制作発表会見
日本語の美しさが好き、言葉が感情を持っていってくれる

2016年10月27日更新
写真:「繻子の靴-四日間のスペイン芝居」制作発表会見から=岸隆子撮影 「繻子の靴-四日間のスペイン芝居」制作発表会見から=岸隆子撮影

 12月10日・11日に京都芸術劇場 春秋座で、ポール・クローデル作「繻子(しゅす)の靴―四日間のスペイン芝居」が上演される。上演時間は8時間。休憩を入れると(30分の休憩が3回!)9時間30分の壮大な四部作だ。(ウエストプラン・真名子陽子)

 ポール・クローデルはフランスの劇詩人で、外交官としても世界各地で活躍し、「繻子の靴」は大正年間に、日本滞在中に書き上げたそうだ。本作は大航海時代を舞台に繰り広げられる「世界大演劇」で、初めて日本で全編上演される。その制作発表会見が京都芸術劇場 春秋座で行われた。翻訳・構成・演出の渡邊守章、映像・美術の高谷史郎、出演者の剣幸と茂山逸平が登壇し、作品への思いや意気込みを語った。

渡邊:題名に4日間とありますが、スペイン芝居では幕と言わずに「日」といいます。4部構成ですので、4日間というんですね。「繻子の靴」は、初めて留学をした1950年代の終わりごろに見た芝居で、芝居を作ることができたらやってみたい作品のひとつでした。最初は翻訳本を出してくれるところがなかったのですが、2005年に岩波文庫から全曲版を出すことができました。でも上演するとなると、長くてとても上演できない。けれど翻訳した以上は日本語の言葉を肉声化して、通じるか通じないかをやってみたいと、朗読オラトリオバージョンを上演しました(2005年、08年)。今回の全曲版は2年にわたり研究し、剣さんを迎えた豪華な出演者で上演できることになりました。

 クローデルの戯曲は長短入り交じった自由詩で書かれています。これをどういう風に言うかが大問題なんですね。役者の体と魂がそこにかけられているような強度が必要です。ただ、強度と言っても上演時間が8時間ですから、観客も疲れてしまいます。けれど、海外の公演ではカットされてきた4日目に道化芝居がたくさん入っているんです。不条理演劇ですね。過酷な芝居ですが、でも過酷だけではなく、知的ならびに感覚的な芝居のおもしろさをわかっていただければうれしいです。できればゆくゆくは、フランスへ持っていきたいなと思っています。

高谷:この作品では、映像を単に作るということができません。作品の内容に沿って、どういうところにどういう映像を流したらいいのか、というところからしか作れないので、渡邊先生と話しながら、2年間ほど一緒に取り組ませて頂いています。長いお話で内容を完全に把握するのは不可能です。渡邊先生のお話は、2ページの文章に2、3ページ分の注釈のようなバックグラウンドがあるんです。そういうことを踏まえての言葉や演出方法だと思います。言葉で伝えるべきところは伝えるべきなんですが、それ以外にその注釈のようなことが、映像でできたらいいなと考えています。こういう映像とこういう言葉をかけ合わせたらこうなるんだ、ということができたらおもしろいなと思っています。

剣(ドニャ・プルエーズ役):渡邊先生とご一緒させていただくのは、三作目になります。渡邊先生の翻訳される日本語の美しさが大好きで、自分でセリフを言っていても、言葉が感情を持っていってくれるというすごい力を持っていらっしゃるなと思っております。8時間ということですが、朗読劇ということで新しい発見ができるかなと思い、出させていただきます。が、芝居もたくさんあるようで……。とてもやりがいのあるプルエーズ役をやらせていただきます。今までやってきた女性を集大成させても間に合わないかな。繊細で大胆で、情熱的で道徳心もあって賢くて、ずる賢くて……。ありとあらゆる面を駆使して出していかないと、追いつかないんじゃないかなと思っていますが、それを先生はさらりと読んでのけて、なんてすごい先生だろうと思います。皆さんと一緒に8時間、退屈しない、おもしろかったと言ってもらえる作品になるようがんばりたいと思っています。

茂山(聖ヤコブ役、日本人画家大仏役ほか):先生と出会って10年以上が経つと思います。とてつもなくすさまじい言葉量の舞台に、狂言師として呼ばれたのは何か意味があるんだろうと思いながら、いつも先生のところに行くのですが、いまだに答えは見つからない。今回こそは狂言師として呼ばれた意味を見つけたいと思います。狂言師はゆっくりしゃべります。先生の作品とは正反対の方向を突き詰めてきた芸風を持っているのに、きちっとした日本語をある程度のスピードでしゃべらないといけないというのは、僕を含めて親父(二世 茂山七五三)も一番の課題だと思うのですが、なにかしら僕たちにできることがあるんだろうと……。おそらく長時間なので、僕たちが舞台へ出たらお客さんがほっとする時間になるといいのかなと想像しています。先生の言葉を次の世代につなぐ役目としても、楽しみながらこの芝居へ参加したいと思います。

〈ストーリー〉
 舞台は、16世紀末のスペイン。「新大陸」の征服者である若き騎士ドン・ロドリッグと、若く美しき人妻ドニャ・プルエーズの、地上ではかなうことのない激しい恋。プルエーズの夫、老大審問官ドン・ペラージュと、はるか大西洋をみわたすアフリカ・モガドール要塞(ようさい)にあって、キリスト教を否定しようとする背教者ドン・カミーユを巻き込んでの、壮大な「すれ違い」の物語が、地球を舞台に繰り広げられる。(京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター提供、リリースから)

 上演時間は8時間と聞いたとき、いったいどんな作品なんだろうという好奇心と8時間へのチャレンジ精神が出てきた。最近、翻訳劇や朗読劇に興味がある者としては、見ないという選択肢はない。戯曲を読んではみたが、やはりすべてをクリアに理解できなかった。だからこそ、舞台上で演者がどんな風に芝居として立ち上げてくれるのか楽しみでならない。8時間、どっぷりと「繻子の靴」の世界観に浸って、芝居を堪能してみたい。

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◆「繻子の靴-四日間のスペイン芝居」
《京都公演》2016年12月10日(土)~11日(日) 京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.syusunokutu.com/

《筆者プロフィール》真名子陽子 (株)ウエストプランで「スターファイル」の企画・編集を行っている。舞台のおもしろさは「フィクションをノンフィクションで見ること」。ひとりでも多くの人に舞台を見てもらえるように、心を動かしてもらえるように、情報を発信していきたい。

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