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特集 (3)「ミス・サイゴン」、今からでも遅くない

2016年11月14日更新
写真:「ミス・サイゴン」公演から=東宝演劇部提供 「ミス・サイゴン」公演から=東宝演劇部提供

 トゥイ役を演じる藤岡にインタビューした際、この作品は西洋人たちが描いたベトナム戦争で、トゥイを演じるにあたり、ベトコンとなりアメリカと戦うことを選んだ人々についてとことん調べると話していた。

 初めて「ミス・サイゴン」を見たときを振り返ると、資本主義側の人々が描いた社会主義側と戦う物語を、生まれたときから資本主義の国で育った感覚で見たとき、大きな違和感はなかった。トゥイはキムを執拗(しつよう)に追い続けるストーカーのように映ったが、藤岡が演じるトゥイはどう映るだろうかと興味深く見た。

 一番記憶に残るのは、キムと再会した場面だ。きっと会えると、キムをどれだけ求め探していたかを歌う姿は切ない。ところが、キムに拒まれキムにクリスとの子供がいると知ったとき、小刻みに震えながらがくぜんとし、こんなものは消さなければとタムを殺そうとせまるシーンが印象的だった。タムを守ろうと感情を爆発させるキムが人間らしく見えるのに対して、正しいと心酔するものが崩壊すると同時に、人格も壊れていく……トゥイはそんな風に見えた。抑制された人間がアンドロイドのように見える感覚というのだろうか。トゥイが見ていた世界はきっと狭かったのだろう。

 さまざまな役をさまざまな視点から見たら、物語はもっと広がっていくだろう。この記事の執筆のあとに、違うキャストで数回見る予定になっているので、その違いも注目したい。まだまだ「ミス・サイゴン」初心者だが、何度も再演されていく大作ミュージカルを見るには、今からでも遅くない。

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【藤岡正明インタビュー記事はこちら】

【ダイアモンド☆ユカイ会見記事はこちら】

◆ミュージカル「ミス・サイゴン」
《プレビュー公演》2016年10月15日(土)~18日(火) 帝国劇場
《東京公演》2016年10月19日(水)~11月23日(水・祝) 帝国劇場
《岩手公演》2016年12月10日(土)~11日(日) 岩手県民会館 大ホール
《鹿児島公演》2016年12月17日(土)~18日(日) 鹿児島市民文化ホール(第1)
《福岡公演》2016年12月23日(金・祝)~25日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
《大阪公演》2016年12月30日(金)~2017年1月15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
《名古屋公演》2017年1月19日(木)~22日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール

⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/miss_saigon/index.html

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーランスのフォトグラファー、ライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。

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