マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集 (6)心の中をどう通っていくかにこだわっている

2016年11月18日更新
写真:左から、笠原浩夫、倉田淳、曽世海司、岩崎大=伊藤華織撮影 左から、笠原浩夫、倉田淳、曽世海司、岩崎大=伊藤華織撮影

――お三方は外部出演も多いですが、よそを見たからこそわかるスタジオライフの魅力、倉田さんの演出の魅力とは? ある劇団員の方は、倉田さんの演出にもまれていると、よそでの演出が物足りなく感じることもあるというお話も伺いました。

笠原:僕はこの劇団が最初なので、これが僕にとって普通なんですね。なので、外に行ったときに、それは普通じゃないなと思うことはありますね。そこが物足りないと思う部分かもしれません。帰ってくると、言われるべきことを当然言われることに安心します。

曽世:倉田さんがこだわっている部分は容易にはクリアできないんですね。常に難題を与えられるのが面白いなと思います。倉田さんの演出がなければ、スタジオライフの世界観にはならないんです。倉田さんの演出はかなり抽象的なところから入るので、抽象をいかに具象に持っていくかが役者の仕事で、そういうスキルをこの劇団で身につけさせてもらっているのかなと思います。

:倉田さんは、この役はこういう意図で書かれているという細かな台本分析から入って、役者それぞれがキャラクターをきちんと理解するまで帰さないです。でも、外部だと「とりあえずノリでいいよ!」みたいな演出もあるんですね。「演技を考えるのは役者だから」と突き放されることもあります。それぞれのやり方があると思うんですけれども、倉田さんはとくに役のイメージが明確だなと思います。

――倉田さんの頭の中では、キャラクターがかなりはっきりあるのですか。

倉田:キャラクターより心理ですね。キャラクターは結果出てくるものだと思うので。心の中をどう通っていくかにこだわっているかもしれません。

――今回は、外部から若手の役者さんが多く客演されていますが、演出をしていていかがですか?

倉田:最初は気を使おうとしていたんですけれど……。

曽世:そうなんですね。僕らは、思ったより速く門を開けてくださったなと思っていましたが。

倉田:いきなりはどうかな……と思っていたんですけど、やっぱり言ってしまいますね。彼らもスタジオライフの作品世界にどう入っていくか悩んでいるのかなと思いつつ、ついつい言ってしまいます。

曽世:僕らにとっては当たり前ですが、彼らにとっては戸惑うことも多いだろうなと思います。

――それでは、最後にメッセージをお願いします。

笠原:これから年の瀬を迎えるわけですが、本当に元気の出る芝居なので、シンプルに楽しんでいただけると思います。ただ楽しく終わる芝居ではなく、ちゃんと引っかかりもある作品なので、元気になりたい方にはぜひ劇場に来ていただきたいです。

曽世:オールメールの芝居は以前より増えましたが、スタジオライフにはそのオールメールの歴史があるんだなということを、この作品ではとくに感じます。僕たちはキャラクターの心情を伝わりやすくするための手段としてオールメールを使っているので、この作品ではそれがよく伝わるのではないかなと思います。演劇の楽しさを堪能していただければと思います。

:何か心に残っていくのが舞台のだいご味だと思います。映画より高いチケット代を払って、何かを見たい、感じたいと思って来てくださるお客さんに、元気や、やさしい気持ちをもって帰っていただければと思います。

倉田:この作品を、初めてロンドンで見たのが1984年でした。1983年にローレンス・オリビエ賞の最優秀コメディー賞を受賞していて、その勢いのままウエストエンドで上演されていたんですね。当時私はとにかく演劇が見たいと思って、2カ月間の予定でひとりでロンドンに滞在していたんです。最初は珍しくてキャピキャピしていたんですけれど、だんだんくたびれてきて。寝る前にその日見た舞台の記録をつけて、朝起きてご飯食べに階下に降りて「グッドモーニング」と言われると、「あぁ、また一日英語だ……」と。だんだん気持ちがダウンしてきた時にこの作品を見たら、いつのまにか物語に巻き込まれていて、ものすごく元気になれたんです。

 気持ちがなえている時も、ひとつの劇場空間の中で追体験をすることで、明日に向かってがんばろうという気持ちになれる演劇の力ってすごいと思いました。そのパワーを今度は私たちがお客様にお渡ししたいと思います。年の瀬は幸せな人ばかりじゃないし、人は何かを抱えずに生きることはできないので、見に来ていただいたお客様が明るく元気になっていただけたら、舞台を作っている人間の冥利(みょうり)に尽きると思います。

<インタビューを終えて>
 笠原さん、曽世さん、岩さん、そして演出の倉田さんをお迎えしての取材でしたが、役者のお三方がみなさん背が高く存在感があるので、この人たちが可憐(かれん)な女子高生役を……?とつい思ってしまいますが、いやはや稽古を拝見したら楽しいのなんの。大人の男性が女子高生を演じるギャップに笑わされつつ、次第に一生懸命で純粋な女子高生たちの奮闘に引き込まれてしまいました。稽古序盤でもこの完成度なので、本番はどんなに面白い舞台になるだろうとワクワクが止まりません。なお、前回公演のデイジーの髪形はツインテールでしたが、今回も踏襲されるかは未定とのこと。個人的には、笠原さんのツインテールをぜひ見てみたいです。

戻る

【フォトギャラリーはこちら】

【トピックス記事はこちら】

◆劇団スタジオライフ公演「DAISY PULLS IT OFF」
《東京公演》2016年12月1日(木)~18日(日) 新宿シアターサンモール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.studio-life.com/stage/daisy-pulls-it-off2016/

《筆者プロフィール》岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター。WEBおよび出版を中心に、企画、編集、取材、執筆を行う。

バックナンバー

全ジャンルnew 宝塚new 舞台new

2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年

過去記事一覧へ>>