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特集(2)変声期という名の「挫折」

2010年11月6日
写真:山崎育三郎 撮影・廣江修
――本格的なデビューは「レ・ミゼラブル」になるんですか?
 そうですね。変声期を迎え、それをきっかけに出逢ったクラシック音楽の先生に、ミュージカルをやるにしても、クラシックの基礎を学ぶことをすすめられて、猛勉強ののち、音楽大学の付属高校に入学し、大学も音楽大学に進みました。声が落ち着いてきたところで、またチャレンジしたいなっていう時に、「レ・ミゼラブル」のオーディションが大々的にあったんです。19歳の時でした。
――たくさんこられたんですか?
 そうですね。
――すごいですね、「レ・ミゼラブル」でマリウス役っていうのが…
 自分の中でも、子供の時に舞台に立ったと言っても、そこから7年くらいブランクがありましたので、新たな挑戦でした。これも本当にダメ元というか、「声が落ち着いた自分が、ミュージカルの世界で果たして通用するのかどうか?」。「レ・ミゼラブル」もずっと自分の目標となる作品でした。夢の、憧れのミュージカルでしたから。
――ちなみに高校時代に、ミュージカル「モーツァルト!」を観られたということですが、その頃はミュージカルはやってなかった時期ですよね?
 はい、まだ声楽を学んでいる時期でした。
――変声期を迎えても、将来はミュージカルに行きたいという思いはずっとあったんですか?
 そうですね。その中途半端な時期も、いろんなオーディションの話を頂きましたが、自信もありませんでしたし、逆に時期を待ちました。
――変声期のときに歌うって、あんまり良くないんですか? 
 全く歌えなくなったんです。子供のキーは女性と同じキーなんですが、女性のキーもだんだん出なくなって、下の音も伸びていかないので、大人の男性の声も鳴らない、中途半端な時期でした。1オクターブも音域がないような状態でしたから、決して無理をすることが良い結果につながらないのでは、と思いました。
――「モーツァルト!」の制作発表のときにもおっしゃっていましたね。
 「挫折」というか、中学3年生の時には、「もう無理だ。自分は人前ではもう歌えない」と思いました。
――それは「挫折」になるんですか? 
 それは自分の中でのことになりますが、その時はそう思っていました。その時にちょうど、井上芳雄さんがすい星のごとくルドルフで登場されたのです。デビューと同時にミュージカル界ではすごく注目されていたので、「モーツァルト!」を井上さんがやられるっていうことで、勿論僕も劇場に行きました!
――でもその頃は自分では声が出なくて、将来やりたいという思いがありながらも、不安ですよね?
 すごく不安でした。先生にも「その子供の頃の記憶を消すように」と言われていました。自分の頭の中では高音が鳴るんですよ。自分が思ってるよりオクターブが高い、スコーンと抜けたボーイズオペラの音が頭の中では響いてて、でも実際は低い声しか出ていない。葛藤の時期でした。全然レベルが違いますが、それがモーツァルトと被った感じでした。
――あの「アマデ」ですか?
 はい。モーツァルトが幼少の時に「神童」と呼ばれていた、「天才」と呼ばれていた、その音楽の才能…子供の時の自分をずっと引きずっていて、そこから逃れたいという思いでモーツァルトが葛藤をしているところに、自分との共通点を感じながら見ていたのですね。そして「音楽」。すごく圧倒されました。
――その頃はまだ、ご自身が「モーツァルト!」に出るとは思っていなかったわけですよね?
 いえ! もう想像していました。絶対やりたい!と初めて観た時にそう思いました。すぐさまCDと「モーツァルト!」の名曲集を買い、学校で、ピアノ科の友達に弾いてもらって歌ったりしていました。その時から「いつかヴォルフガングをやりたい」と秘かに思っていました。

ミュージカル「モーツァルト!」

【東京公演】
2010年11月6日(土)〜12月24日(金)、帝国劇場
【大阪公演】
2011年1月8日(土)〜1月25日(火)、梅田芸術劇場メインホール
【金沢公演】
2011年1月29日(土)〜1月30日(日)、金沢歌劇座

詳しくは「モーツァルト!」公式サイトへ

 (関連リンク:山崎育三郎 Official Web Site

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