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特集(2)「理想」と「現実」の絶妙なブレンド

2011年2月18日

 今やタカラヅカに限らず、マンガやアニメ、ゲームの世界の舞台化は多い。そんな時代だからこそ、「二次元ワールドの三次元化」において最も大事なことは何なのだろうと考える。

 大原則はやはり、マンガやアニメなど、元コンテンツのファンを「決して裏切らない」ことだろう。逆に、愛着のある各キャラクターが、舞台上に理想どおりの姿で出現したら、原作ファンにとってこれほどうれしいことはない。そうすると、観客層は圧倒的に広まり、ブレイクにつながる。

 このとき演じる側は、二次元の世界で描かれている姿を「理想」として忠実に再現しつつも、「現実」としての自分の持ち味を加味していかなくてはならない。そこが、役者としての腕のみせどころだ。

 文字だけの脚本と違い、画像、映像など、事前情報が圧倒的に多いという違いもある。ともすれば研究しすぎて深みにはまり「木を見て森を見ず」にもなってしまいがちだ。だが、それでは、オタクファンと同じ視点になってしまい、多くの観客の胸に訴えかけることができなくなる。

 この点、「メイちゃんの執事」は主要なキャラがそれぞれ、絶妙なバランスでの役作りがなされていた。とりわけ、完全無欠なSランク執事の柴田理人を、紅ゆずるがどう創ってくるのかにとても興味があったのだが、自身の役者としての持ち味をうまくミックスさせた理人像に仕上げていた。マンガから受けるイメージより優しく温かみがあり、垣間見える脆さもまた母性本能をくすぐる、外見と内面のギャップが魅力的な理人さんだった。

 東雲(本郷)メイを演じた音波みのり。一見普通の女の子のくせして2人のいい男に愛されるという、一歩間違えたら女性陣の猛烈な反感を買いそうなキャラだ。にも関わらず、自然体でイヤミのない健全さをかもし出し、素直に「メイちゃん、可愛い!」と受け取られる役作り。「歌劇」誌で「頭で考えてしまうと全然出来ないので、如何に役と一体化して純粋さや素直さを表現できるか」と語っている、そのあたりに好感度の高い役作りの秘訣があるようだ。

 兄と対照的な柴田剣人を演じる美弥るりか。冒頭の学ラン姿にまず目を奪われる。正直、マンガを読んだときは、少々ウザい弟キャラだと感じだのだけど、舞台で暴れまわる生身の剣人クンをみて、一気に親近感が沸き、応援したくなってしまった。

 ルチア様こと本郷詩織と忍。このカップルの壮絶な行く末がばっさりカットされてしまっていたのは残念。限りある上演時間と、全体のバランスからするとやむをえないのだろうが…それでも2人が与えているインパクトはすごい。決して血の通わない、非現実的、非人間的役作りを貫き通した結果ではないかと思う。

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