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特集(3)これぞまさに「神は細部に宿る」

2011年2月18日

 今回の舞台は単行本の7巻までをベースにしており、そこには上記の主要登場人物以外のさまざまなお嬢様&執事カップルのエピソードも盛り込まれている。

 せっかくなので、マンガを参考に、カップルたちのことを少し詳しく紹介してみよう。これを押さえておけば、舞台も2倍楽しめるはずだ。

・華山リカ(音花ゆり)&青山(芹香斗亜)
美貌が自慢で気位が高いお嬢様のリカは、自慢の執事青山を使ってデュエロをけしかけ、他のお嬢様の執事たちをつぎつぎと手に入れる。

・竜恩寺泉(夏樹れい)&木場(如月蓮)
男勝りの美人で文武両道、人望も厚い泉と、ドジッ子執事で「執事の心得」という本を肌身離さず持っている木場。カップルの中で唯一、執事よりお嬢様のほうがしっかり者と立場が逆転しているが、泉は木場をこよなく愛している。

・麻々原みるく(紫りら)&大門(礼真琴)
学者の娘であるみるくは、わずか5歳にして両親を遥かに凌ぐ頭脳を持つ。その頭脳を各国の陰謀から守るのが元・自衛隊員である執事大門のミッション。じつは大門、メイに会うために女装して忍び込んだ剣人に一目惚れして、みるくを怒らせたことがある。

・夏目不二子(紫月音寧)&根津(漣レイラ)
香港マフィアの娘でフェロモンムンムンの不二子と、無精髭がワイルドな執事、根津。不二子は根津のことを「根津ち〜ん」と呼び、常にイチャイチャしているが、その実、ふたりの関係はプラトニックだとか。

・山田多美(妃海風)&神崎(汐月しゅう)
寮でメイの隣の部屋に住み、何故か常に2人で本気の死闘を繰り広げている。腕に覚えのある執事たちのなかでも(木場以外)神崎が最強で、兄とのデュエロに向かう剣人に稽古をつけたのも神崎だ。

 残念ながら今回の舞台では、リカ&青山と多美&神崎をのぞくカップルの場面はない。だが、よくよく目を凝らしてみると、それぞれのカップルが、上記の設定にのっとった芝居を常にしているのがわかる(剣人の女装も一瞬だが登場する)。そういったこだわりの積み重ねは、舞台の「熱さ」となって、原作マンガのファンにも必ず伝わる。「神は細部に宿る」とは、まさにそういうことをいうのだろう。

 舞台装置における工夫も見逃せない。映像使いはもちろんのこと、影絵が出てきたり、パペットが出てきたり、ジオラマ風の建物や汽車の小道具を使って空間の移動を表現してみたり。「逆転裁判」では、DSの画面がそのまま巨大化して舞台に再現してみせたが、今回はマンガの世界を舞台ならではの表現法につぎつぎと変換してみせる。モントリオールへの留学から帰国したばかりの演出の児玉明子氏が、その成果を見事に披露してみせたというわけだ。

 これほどマンガに忠実で今風なスタイルなのに、観終わった後に受けた感動は、いつものタカラヅカを観た後と変わりなかった。「真実の愛とは何か」という古典的なテーマがしっかり底辺に流れているからだろうか。その意味で、この作品もまたタカラヅカの王道といえるだろう。

 こうして、タカラヅカの歴史にその名を刻むエポックメイキングな作品がまたひとつ誕生した。その瞬間に立ち会えた幸運を噛み締めつつ、この路線の今後の展開に期待することにしよう。

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