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特集(4)「怪人」の知られざる少年時代を

2011年5月10日

写真:劇団「スタジオライフ」

撮影・岩村美佳

――では、いよいよ「PHANTOM」について。この作品は、いろんな形で舞台化されていて、ロイド・ウェバー版のイメージが強い方も多いと思うのですが、今回の「あらすじ」を読むと、どうも違う…「クリスティーヌが出てこない!?」わけですが、まずは今回の「PHANTOM」の特徴と、見どころからお願いできますか?

林:ガストン・ルルーという人が書いた「オペラ座の怪人」という小説がありまして、それをロイド・ウェバーが、怪人とクリスティーヌの恋物語としてミュージカル化した、それがあの「オペラ座の怪人」なんですね。今回やるのは、その「オペラ座の怪人」に惚れ込んだ、スーザン・ケイという作家が「オペラ座の怪人」をもとに、ファントムの一生を描いた小説なんですよ。

――すごい妄想小説というか、想像を膨らませて書いた小説なんですよね。

林:そうですね。もう、生まれるところから、死ぬところまで描かれています。ある人物の一生が最初にあって、その一部分を切り取るっていうのが、普通だと思うんですけど、その逆ですよね。一部分が最初にあって、そこから一生を創っちゃったっていう。だから、「オペラ座の怪人」がなぜ「オペラ座の怪人」になってしまったかという、その課程を描くことになると思います。

――じつは私もスーザン・ケイの小説は以前読んだことがあって、すごく面白かったんですが、でも、長いですよね。いったいどの部分を舞台かするのか? 登場人物をみる限りでは、前半部分の、母親との関わりが中心になるのかなと思うのですが。

林:そのあたりは今はまだ詳しくお話できないんですけど(笑)、生まれたときから傷を負ってしまっているエリックという少年が、いかにしてオペラ座にたどり着くのかを、丁寧に描くのだと思います。

――今回、Wキャストで「sort」チームと「destin」チーム(両方ともフランス語で「運命」の意)の2パターンの配役があります。及川さんと青木さんのお二人は、役替わりでエリックの母マドレーヌを演じられるわけですが、いかがですか?

青木:初めてですね。

及川:初めてだねー。

――先輩・後輩の関係になりますが…。

青木:ジュニワンの及川さんは、女役の看板を背負ってきはった方なので、すごい緊張しますね。

林:青木はいままでどちらかというと、怪奇女優やったもんね。

青木:女役の種類がまったく違うという(笑)。だから、まったく違う母親像ができると思います。

林:なんか、姿は綺麗なくせに、怪奇なんだよね。

青木:もう僕の個性はいいですから(笑)

――じゃあやっぱり両方観ないととダメですね。

青木:エリックもWキャストですからね。林さんと山本(芳樹)さんで。

林:ぜんぜん違うものになることは必至だよね。

青木:僕は山本さんの母親役をさせていただくことになります。

――林さんは少年役ですよね?

林:そうですね、きっと。きっとっていうか、絶対そうです(笑)

――そのあたりは、どうですか?

林:でもね、ほとんどマスクをつけたままじゃないかと思うんですね。マスクを取るのであれば、特殊メイクをほどこさないといけないので…小説の描写にもあるように、死人のような、骸骨のような、左右アンバランスな目に、鼻は穴があいているだけ、みたいな。確か、ご存じの「オペラ座の怪人」では、顔を半分隠すだけのマスクだと思うんですよ。

――仮面をクリスティーヌに取られたら、すごい顔だったぞ、みたいな感じですが…そういうのは今回あるんですか?

曽世:小説によると、顔を半分隠したぐらいではすまないほどのすごい顔らしいので、それを演劇的にどう成立させるのか、ですね。

林:オペラ座にたどり着いた後は、ファントムとして君臨していくわけだから、マスクもそれらしくエンターテインされたものになっていくんだろうけど。でも、生まれたときは、母親がもう「この子の顔なんかみたくない」と、バンってかぶせちゃったマスクだと思うんです。たぶん母親の手作りのものをね。それをどうするかも、演出の倉田がイギリスまで行って、打ち合わせてきたらしいです。僕らはまだ明かされていないんですけど、まあちょっと、いろいろ面白いことがあるんだろうな、とは予感してます。

及川:いずれにしても演出にかかる部分で、あまり顔は出ないのかもしれないですね。そしたら、母親の芝居でその顔を想像していただくことになると思います。

――曽世さんは、今回、「sort」チームと「destin」チームで役が違うのですが。

曽世:そうですね。今回、笠原浩夫さんとダブルキャストで2役させていただくという珍しい形です。このスーザン・ケイの原作で面白いなと思ったのは、エリックという人がオペラ座の怪人になっていく、その過程で登場する人間たちですね。まずは母親、それから母親以外の人間たちのうち何人かを、スーザン・ケイは大きくピックアップしてますけど、エリックの道筋を創っていくのは、その人間たちの関わり方だと思うんです。僕が演じる役のひとつは、幼少期に関わる青年医師バリー。エリックにとっては、正か負かでいったら負、心地よくない存在で、世間、社会一般の象徴だと思うんです。

――最初にエリックが触れる「世間」みたいな?

曽世:そうですね。そして、もうひとりはジョバンニという、マスターメイソン(石工技師)って書いてありますけど、建築家っていったほうがわかりいいのかな? こちらは、正か負かでいうと、まさにエリックが正の感情を抱いていく人物です。

――建築家としてのエリックの才能を認める人なんですよね。

曽世:エリックにとって、とても大きな存在としてずっと影響力を及ぼしていく人です。

林:父親的な存在ですね。母親のもとをはなれた後に唯一心を許した人でもある。

曽世:この人次第では、エリックは、もしかしたらオペラ座の怪人にならなかったかもしれない。

林:でも、最終的にエリックは彼のもとを離れるわけだから、エリックはそこでも傷を負うわけですよね。正だったものがいきなり負になったときのショックっていうのはすごいと思う、そういう影響を与えてしまう人物なんですね。

曽世:今回、マット・キンリーさんという美術・映像家の方やニック・シモンズさんの照明も加わっているので、舞台美術や映像、そして照明がひとつの大きな売りなんですけれども、やっぱり演劇の一番ベーシックな武器というのは、舞台の上で人間関係をどう見せていくかだと思うんです。エリックとお母さん、そして、エリックと周囲の人たちが、どう影響し合っていくのかを、きちんとお伝えしたい。「ああ、これがオペラ座の怪人につながっていくのね!」というポイントを、スーザン・ケイは非常にたくさん描いているので、それを僕らがどう創っていくかだと思います。

◆スタジオライフ公演「PHANTOM ‐THE UNTOLD STORY‐〜語られざりし物語〜」
《東京公演》プレビュー公演:2011年6月9日(木)〜6月10日(金)
本公演:2011年6月11日(土)〜6月27日(月)

於:新宿シアターサンモール
⇒詳しくは、「劇団スタジオライフ オフィシャルホームページ」へ

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