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特集(4)ロシアものは、主人公が「イナカモン」!?

2011年5月18日

 一連のロシアもので独特だと思うのが、物語の主要な舞台がしばしば田舎である、という点だ。「黒い瞳」も辺境の要塞が主要な舞台だし、「オネーギン」も彼の実家が舞台だ。「カラマーゾフの兄弟」もそう。そして、対照的な存在として大都会ペテルブルグが描かれる。また、主要な登場人物も、田舎の地主の息子クラスが多い。

 ヨーロッパ諸国を舞台にした他の作品では、パリやベルサイユ、ウィーンなどの宮廷が主要な舞台となり、主要な登場人物も、歴史上の有名人を含めた身分の高い貴族が多いのに比べると、ちょっと異色だ。

 根が純朴で不器用で、大都会(その先には西ヨーロッパ)に憧れを持ちつつも、自らのルーツをしっかり認識しながら、地に足をつけて生きている。そこが、ロシアもので描かれる登場人物たちに共通した魅力ではないだろうか。

 自然豊かな田舎と華やかな大都会、この対比を生かした場面転換もしばしば用いられる。地味な田舎の町から、輪っかのドレスを着た貴婦人たちが舞うペテルブルクの宮廷へのいきなりの転換。田舎の場面では、自然の美しさと同時に陰鬱さを漂わせ、都会の場面になると今度は、華やかさと同時に、むなしさを感じさせる。

 美しくも厳しい自然を生かした演出も多い。名場面としても知られてきた、「黒い瞳」冒頭、雪の精の場面などはその典型。吹雪のなかで倒れているニコライを、雪の精たちが救う。可愛らしいロシアの民族衣装を身につけた雪の少女(実はマーシャ)のダンスが見どころだ。初演でマーシャを演じた風花舞がダンスの名手であったために創られた場面だが、今回は舞羽美海が踊る。

 日本人にはやや馴染みの薄いロシアという国。だが、雄大で厳しい自然、そしてロシアの大地で逞しく生きる人々のドラマを、タカラヅカの舞台では感じることができるのだ。

◆「黒い瞳」
《全国ツアー公演》2011年4月23日(土)〜5月22日(日)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。67年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。株式会社リクルートで海外ツアー販売サイトの立ち上げおよび運営に携わる。00年に独立。小学校4年生のときに宝塚歌劇を初観劇し「宝塚に入りたい」と思うも、1日で挫折。社会人になって仕事に行き詰まっていたとき、宝塚と再会し、ファンサイトの運営などを熱心に行なう。宝塚の行く末をあたたかく見守り、男性を積極的に観劇に誘う「ヅカナビゲーター」。

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