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特集(6)ミュージカルはエンタテインメントの集大成

2012年1月24日

――先程、音楽はジャンルの垣根もないし、どんな音楽もとおっしゃっていましたが、やはりミュージカルの音楽もそんななかのおひとつで携わるようになられたのでしょうか?

 僕は昔から好きで、歌穂と最初に会ってお話したときにも僕がミュージカルが好きで詳しいことに驚いていたんだけれども。ミュージシャンはミュージカルを毛嫌いしている人が多いんですよね。意外と「ミュージカルなんて…」とちょっと馬鹿にしてる感の人が多くて。例えばアメリカでニューヨークのミュージシャンと話していて、ブロードウェイにいるんだからミュージカルを見るでしょうというような話したら「とんでもない!」といわれて。びっくりしましたね。「I hate Musicals」って。確かに多いんですよね。

 僕は子供の頃から父親に連れられて、音楽だけではなくミュージカルや芝居など舞台もたくさん見に行ってました。日劇のレビューとかも見ているし、児童劇団の「劇団仲間」という、いわゆる子供向けのお芝居などもよく見てたんです。それで、7〜8年前に「Freddie(フレディ)」というオリジナルミュージカルを富良野で上演したときに、倉本聰さんが富良野塾の塾生さんを連れて見にきてくださったんですね。知り合いでもなかったし、ご案内したわけでもなかったのにですよ。それで、終わったら楽屋に来てくださって。良かったらお話したいので食事でもしませんかと言ってくださって。それで、歌穂と僕と、奥様と4人で食事したんですよ。色んな話をしていたら、なんと倉本さんと奥様が「劇団仲間」で若い頃、看板女優と脚本家で、そこで知り合って結婚したとおっしゃる。あれ?と思って「『三匹の魔法の犬』…」と言ったら奥様が主役だったと。「おさげ髪でこんな衣装で…」と言ったら、「何で!?君いくつだったの?」って。考えたら8〜9才だったんですよね。

――すごいですね。よく細かく覚えてますね。

 そうなんです。衣装まで覚えてたので倉本さんもびっくりしちゃって。「『三匹の魔法の犬』を見てたという子供に初めて会ったよ! 飲みな飲みな!」って(笑)。だから親父に感謝なんですけど。ほんとに子供の頃から黒澤作品とかも見てましたし。小学生の頃から「七人の侍」や「天国と地獄」にしびれてましたからね。

――色んなものを見ていらしたんですね。

 全部親父の影響ですね。父はタンゴのピアニストでしたけれど、元々映画をやりたくて。山本嘉次郎さんの下の下みたいたところに少しだけ入ったらしいんですけれど、結局音楽に行ったらしくて。だから親父がとにかく映画や、ミュージカルや芝居が好きだったんですよね。僕もミュージカルは好きだったし、ロスに住んでいたときもミュージカルを見にいっていたし、ニューヨークに行けば必ずたくさん舞台を見ていたし。あと、ミュージカル映画も。

 ロスに行ったのは1978年ビデオがない時代で、フレッド・アステアとかのミュージカル映画を見たくても、見る術がなかったんですね。でもロスに行ったらさすがはハリウッドで、名画座みたいな映画館があって。1カ月間MGMミュージカルの特集をやったり、黒澤ウイークなんていうのをやっていたんですよ。そこでいっぱい古いミュージカル作品も見たし、黒澤作品とか溝口作品とか昔の日本映画の名作も結局ハリウッドの映画館で見たんですね。まあそんなわけで、歌穂と出会ったときもミュージカル話で盛り上がって。だから自然にオリジナルミュージカルをという話になったし、ミュージカルの音楽監督もとなりましたね。最初は歌穂を通じての仕事でしたけれども、そこからだんだん色々と声がかかるようになったんですよ。もちろん大好きなので、喜んでやっています。

――全部自然の流れなんですね。やっぱり。ミュージカルの音楽監督をされるうえで、演奏されることも含めてなんですが、色々制約もあると思うのですが、ミュージカルならではの面白さや難しさなどはありますか?

 ミュージカルならではの面白さは、まず僕がミュージカル自体が好きなのと、エンターテインメントの集大成だと思うんですよね。歌と踊りと芝居があって、それら全てのものですから。本当にエンターテイメントの仕事をしている者にとっては、最高のツールだと思うんですよ。音楽監督というよりも、ミュージカルを作ることに喜びを感じる。一端なんですけれどね。だからオリジナルミュージカルの場合は、本から演出にまで口をだしますけれどね(笑)。難しいところは、集大成であるが故にすべての要素がバランス良く絡み合わなければいけないところだと思います。

――逆に翻訳もののミュージカルはいかがですか?

 とにかく日本語をのせるというところが一番難しいですよね。やっぱりメロディと詞とが、元々英語のリズムで作られているのに日本語をのせるというのがね。言葉のリズムがあるので、なかなかうまく行かないですよね。

――見ていて違和感を感じると、詞が入ってこないんですよね。

 だからものすごく無理な事に挑戦している感はあるんですよ。それをいかに自然にするかというところが、日本で翻訳ミュージカルをやるときの一番の難しさだと思います。

――でも日本語じゃないとわからないですしね。英語でわかれば一番いいんですけれど。

 そうなんですよね。

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