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特集(5)70歳になっても歌って踊って芝居がしたい

2012年4月26日

写真:萬あきら

撮影・岩村美佳

――スターシステムの宝塚のなかで、あえてそうじゃない部分、でも、とても大切な部分をやっていく面白さというのは、どういったところなんでしょうか?

 やっぱり舞台が好きですからね。それに、男役というのは、女性から男性になるという、性を超える楽しさがあります。もちろん、完全には変われませんけど、そこがまた宝塚のいいところで。…それと、台詞のない役が意外と面白かったですね。

――へええ、なぜ?

 初めてそういう思いをしたのが、植田紳爾先生の「春風の招待」(1979年・雪組)っていう作品でした。

――私、それも子どものころに観ました(笑)。麻実れいさんが女役をされた、コメディですよね。

 観た? あの作品でジェラールという、ちょっと変な、ツバメみたいな役をやったんです。集合日に台本をみたら、台詞が3つぐらいしかない。それも「奥さま」とかね。でも、一生懸命考えてやって、それで劇団の賞もいただいたし、新聞にも載せていただいたの。何というか、創る面白さがありました。

――無言の中で表現していく面白さ?

 台詞があるだけが、いい役じゃないんだなっていうのを、すごく感じたかな。舞台にどうやって存在するかが大切。そういうところですね。

――今後のこともうかがいたいんですけど、やはり役者さんを極められるんですか? あるいは、ダンサーとして?

 わからないですね…いちおう目標はね、年をとっても、たとえ70歳になっても、エネルギッシュに歌って踊って芝居ができるエンターテイナーになりたい、ということなんです。でも、今はもう、頭打ちまくってます。今にも流されそうで、でも、何が起こっても流れの中に立ってなきゃいけないなと思って、必死で立ってます。立ってられる間は一生懸命立っていたいなあ、へこたれないようにがんばれたらいいなと思っている、今日このごろです。だから、楽しいし、苦しいし(笑)。

――ダンスって、ある種、年齢の制約ってあるのかなと思っていたのですが、今だから踊れる踊りって、ありますか?

 それは、その時その時であると思います。ただ、やっぱり継続することが、すごく大切です。どんなに忙しくても、月に1回でもレッスンを受けると体がまったく変わるから、これは本当に大事なことだと、ますます思うようになりました。宝塚での専科時代、自分が踊りの場面に出ないときも、絶対出たいと思ってレッスンを続けていましたし。すべてがやっぱり継続だと思うんですよ、歌だってそう。そしてそれが、その人の顔になっていくと思う。だから、いい顔でいられるように、がんばりたいと思います。

――なんだか私もすごく励みになりました! 今日はいいお話をありがとうございました。

 こちらこそありがとうございました。

〈インタビューを終えて〉
 宝塚時代の「ダンディな男役さん」のイメージが自分の中であまりにも強かったため、予想外の(?)エレガントな姿で登場されたときは「えっ! これがあの萬あきらさん!?」と衝撃が。その話しぶりも、シャープで切れのあるダンスとは真逆の、ふわっとした柔らかい雰囲気で、またまた面食らってしまった…。だけど、お話の内容からは、お芝居やダンスに対するこだわり、そして、自分に対する厳しい姿勢が伝わって来て、「ああ、芸の道を極めるというのは、こういうことなんだなぁ」と感じ入った。

 後輩のタカラジェンヌたちを見つめるまなざしも、とても優しく温かい。萬さんがおっしゃる通り、スターだけではない多様な人材が育つ場でもあって欲しいと改めて願うばかりだ。

 その萬さんが、「神戸 はばたきの坂」では、初の本格的な女性役に挑戦される。素顔の萬さんを垣間みた私としては、きっとこれまで見られなかった素敵な女性像をつくりあげてくださるに違いないと確信してしまう。新たなスタイル、新たな切り口の謝珠栄ワールドとともに、とても楽しみである。(中本千晶)

〈インタビュアープロフィール〉中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)。2011年10月に「なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか」(東京堂出版)を出版。Astandスターファイルでも「ヅカナビ」連載中。

◆新作ミュージカル「神戸 はばたきの坂」
《兵庫公演》2012年4月28日(土)〜30(月・祝)、5月2日(水)〜4日(金・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
⇒兵庫公演の詳細は、兵庫県立芸術文化センターの公演情報へhttp://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/html/01_shousai/4242412101_0000000001.html
《東京公演》2012年5月6日(日) 新宿文化センター 大ホール
⇒東京公演の詳細は、TSミュージカルファンデーション公式ブログへhttp://ameblo.jp/tsmusical/

(関連リンク:萬あきらブログ) http://i-like-bourbon.blog.so-net.ne.jp/

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