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特集バウ「春の雪」に凝縮された
「豊饒の海」全4巻の世界とは?

2012年11月30日

 月組バウホール公演「春の雪」は、三島由紀夫の同名の小説を舞台化した作品である。「春の雪」とは、「豊饒の海」全4巻のうち最初の1巻だ。4巻「天人五衰」の脱稿当日に三島は割腹自殺を遂げたそうだから、まさに最期の一作、三島文学の集大成といってもよい作品だ。

 維新の残照の中で生きる美貌の青年、松枝清顕の明日海りおは、まさにはまり役。また、清顕との道ならぬ恋に堕ちていく伯爵令嬢、綾倉聡子役には入団3年目の咲妃みゆが挑戦し、初々しさと芝居心をともに感じさせた。この他、松枝侯爵家の書生、飯沼茂之の宇月颯、清顕の学友、本多繁邦の珠城りょう、聡子の婚約者となる洞院宮治典の鳳月杏らもそれぞれに好演。珍しく最後にフィナーレが付かなかったが、そんなことも忘れてしまうくらい見応え十分なお芝居となった。

 当初1巻「春の雪」だけを読んで観劇に臨んだが、観た後に「これは2巻以降も読まなければ」という思いにかられた。そして、東京公演(日本青年館)前に2巻「奔馬」、3巻「暁の寺」、4巻「天人五衰」と読み通した。

 東京公演を観て改めて思うのは、やはりこの作品は直接的には「春の雪」を題材に取るものの、「豊饒の海」全4巻の世界を意識して描かれたものだということだ。聡子の最後の台詞に、敢えて「あれ」を持って来ているところからも、それはわかるだろう。

 そこで今回は「春の雪」のその後、2巻〜4巻までのストーリーを追いつつ、そのエッセンスが今回の舞台にどのように反映されているのかをみてみることにしよう。私と同じく、これから2巻以降も読んでみようと思っている人には、ネタバレになってしまうのでご注意を!(フリージャーナリスト・中本千晶)

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