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特集(1)仕事がデキる女「オスカル」

2013年1月22日

写真:「ベルサイユのばら ―オスカルとアンドレ編―」よりオスカル役の龍真咲=撮影・岸隆子

 はっきりいって、ヅカファンが「ベルばら」を見守るときの心境は複雑だ。「ベルサイユのばら」の文字がベタに描かれた幕が上がると、そこには総ピンクでフリフリのドレス(決して「お洒落」とは言いがたい)を着た小公女と、マッシュルーム頭(冷静に眺めると変な髪型)の小公子がズラリ勢揃いして歌う。そして、ジャジャジャジャーンという音楽と共に、オスカル(龍真咲)とアンドレ(明日海りお)が登場し、定番ソング「愛あればこそ」を歌う。

 お決まりの、プロローグだ。あぁ、初めて観る人たちは今「わあ、これがタカラヅカなのね〜」などと感激しているんだろうなあ。でも、本当は「これがタカラヅカ」ではないんだけどなぁ…他にももっともっと、現代的でスタイリッシュな作品はあるんだけどなあ。…などと、心で呟きながら観てしまう。

 だが、今回は意外にも、そんな煩悶はすぐに忘れて見入ってしまった。というのも、フランスの未来を憂え、体制と戦うオスカルの姿が真面目にリアルに描かれていて、かつてないほどに共感できたからだ。後でも触れるが、従来の「ベルばら」で目についた、余計なお遊び場面が今回は一切ない。

 かたや衛兵隊の部下たちとぶつかり合い、かたや貴族たちから白い目で見られながらも国王陛下に諫言しようとするオスカルの姿は、さながら、部下のマネジメントに腐心し、役員たちから「うっとうしい奴」と睨まれつつも職務を全うしようとする中間管理職の姿だ。今回、オスカルをねちねちといじめるブイエ将軍(越乃リュウ)の存在感がひときわ強烈だが、「ああいう上司、うちの会社にもいるいる」と溜め息をついた人は多いのでは?

 そしてもうひとつ、今回のオスカルに自然に共感できた理由は、ナチュラルに「女性」として見ることができたからというのも大きい。じつはこれまで私は、タカラヅカ版が描くオスカルにずっと違和感があった。それは、どうしても「妙に女々しい男役」に見えて仕方がなかったからだ。だが最近のタカラヅカスターは、CS放送などでオフの「女子としての」露出が増えていることもあって、「男役」という顔だけではなく、「美しくて凛々しい女性」としての顔も持ち合わせるようになった。

 ゆえに、今回のオスカルは「同じ女性」に見えた。それは「妙に女々しい男役」ではなく、むしろ「新たなトップスターとして日々邁進する龍真咲」にストレートに重なってみえたのだ。

 だとすると、役替わりの明日海オスカルはどうだろう? 今回の「ベルばら」では、オスカル役を龍真咲と明日海りおがダブルキャストで演じるというのも目玉のひとつ。龍オスカルが、「素顔の龍真咲」に重なってみえるとすれば、明日海オスカルも「素顔の明日海りお」に重なってみえるはず? これを執筆している今は、明日海オスカルバージョンは未見だが、楽しみだ。

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