マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集【公演評】NO WORDS,NO TIME
雄弁なダンスに息をのむ

2013年1月24日
写真

 東山紀之と田口淳之介がW主演で臨む舞台「NO WORDS,NO TIME 〜空に落ちた涙〜」が1月18日より東京グローブ座にて上演中だ。本作は人生に絶望する男が、ある不思議な体験を通して生きる意味を取り戻していくさまを、音楽とコンテンポラリーダンスで綴る意欲作。公演に先立って行われた、前半部分の公開リハーサルと囲み会見の模様をお届けする。(フリーライター・岩橋朝美)

 会社と自宅を往復するだけの希薄な毎日を送る男(東山)。彼がいつものように仕事場に向かっていると、ひとりの青年(田口)が笑顔で近づいてくる。青年は男に話しかけようとするが、男は青年を無視して去ってしまう。ある日、男は自殺を図るが死ぬことができず、ふと鏡をのぞくと、そこには駅であった青年の姿が。男は鏡の中へ誘われ、パラレルワールドへと迷い込んでいく。

 演者がセリフを一言も発さず、ダンスですべての感情を表現するステージ。出演も果たしている振付家兼ダンサーの黒田育世による、人間のふだんの動きやしぐさを取り入れながら、ときにパントマイム、ときに民族舞踊などさまざまな要素を感じさせる振付が独創的で、細部まで酷使された演者の肉体が登場人物たちの感情を雄弁に物語り、観客の想像力を刺激する。彼女自身も男(東山)を見守る管理職の女性の役で出演していて、その肉体表現の圧倒的な説得力に息をのんだ。

 主人公の男を演じる東山は、日々を淡々と生きながら夜ごと妻子を亡くした喪失感に苦しむ男の内面を、抑制のきいたダンスと表情でリアルに体現。一方で、パラレルワールドで再会した亡き妻である女(花總まり)とのシーンでは、ふたりがひとつに溶け合うようなやわらかく愛にあふれたダンスで、観客を夢の世界へと誘う。宝塚歌劇で長くトップ娘役を経験した花總ならではの、相手役の輪郭に自身を重ねるように沿うヒロイン像も得難い魅力だ。

 同じく主演を張る田口は、持ち前のふわっと包み込むような笑顔と伸びやかなダンスで、謎めいた存在ながらどこか親しみを覚える青年役を好演。冒頭で東山が演じたシーンを、中盤で田口が振付などをすべてそのままに再現するくだりは、互いにダンス巧者であるふたりの持ち味の違いが見てとれ面白い。

 公開リハーサルではパラレルワールドに迷い込んだ男が妻と再会するシーンまでの上演だったため未見ではあるが、後半には東山と田口とのダンスバトルや、青年の秘密が明らかにされる場面も用意されており、興味が尽きない。ほかにも、複数の長方形のフレームを自在に組み替えて作り上げられる無機質な印象のセットや、それに反して有機的で生命力あふれるアンサンブルのダンスなども見所だ。

 公開リハーサル後には囲み会見が行われ、「入口、出口、田口です」のギャグで知られる田口が本作の演出家G2が考案したという「ピューンポーン」という新ギャグを披露。先輩の東山は「この状況下でできる彼の勇気は素晴らしい」とコメントし、緊張感あふれる舞台から一転、まさかの爆笑会見に。終始和やかな様子に、チームワークのよさを感じる一幕だった。

【フォトギャラリーはこちら】

◆「NO WORDS,NO TIME 〜空に落ちた涙〜」
《東京公演》2013年1月18日(金)〜2月5日(火) 東京グローブ座
《大阪公演》2013年2月8日(金)〜12日(火) 森ノ宮ピロティホール
⇒詳しくは、「NO WORDS,NO TIME 〜空に落ちた涙〜」公式サイトへ http://www.nowords-notime.jp/

《筆者プロフィール》岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター。WEBおよび出版を中心に、企画、編集、取材、執筆を行う。エンタテインメント、女性、仕事など、幅広いテーマで活動。

バックナンバー

宝塚歌劇一覧へ>> 舞台一般一覧へ>> 動画掲載記事一覧へ>> 過去記事一覧へ>>

過去記事一覧へ>>

ページトップへ戻る

Astandについて個人情報著作権利用規約特定商取引会社案内お問い合わせ