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特集【公演評】GOEMON
ここまでやるか! 愛之助の初座頭公演

2013年2月12日
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 大阪松竹座で片岡愛之助が歌舞伎本興行としては初座頭をつとめる「二月花形歌舞伎」が上演されている。歌舞伎の常識を打ち破る新しい試みを次から次へと打ち出しながらも歌舞伎の重厚な伝統をしっかり取り入れた舞台は「ヌーヴェル上方歌舞伎」とも言われる新しい伝統の誕生を予感させるものとなった。(デジタル事業本部・橋本正人)

 夜の部の「GOEMON 石川五右衛門」は、2011年に徳島のシスティーナ・ホールで初上演され好評だった新作歌舞伎の大阪凱旋版。大盗賊の石川五右衛門は実はスペイン人宣教師の血が流れるハーフで、五右衛門の恋人が歌舞伎を生んだ出雲の阿国という奇想天外な設定で、歌舞伎とフラメンコとの融合でも話題を呼んだ。

 前回会場の「システィーナ・ホール」はバチカンの礼拝堂を模した壁画・天井画に囲まれたホールで、今回の公演は歌舞伎の舞台としては最高の装置を持つもののあの豪華な壁は使えないとあって、どう演出するのか注目していたところ、なんと今回はヘビーメタルのコンサートのようなド派手な照明を使ったせり上がりが盛り込まれるなど、奇想天外さがさらにバージョンアップ。宙乗りで3階席に消えるわ、ハシゴを使って2階席に現れるわ、客席の間の通路を駆け回って大立ち回りをするわのサービス満載。

 ヒロインの出雲の阿国を演じる中村壱太郎(かずたろう)は、痩身長躯で平成生まれの若々しい肌が光る細面の美人。その壱太郎が阿国の派手な着物姿で、元OSKの「本物の」女性ダンサーたちを率いてフラメンコ風のハイテンポな曲に乗ってキリリと群舞する姿は、前回公演もそうだったが惚れ惚れするほど美しい。

 音楽も弦楽器の生演奏で始まり、三味線とフラメンコギターの競演部分もあるなど、「ここまでやるか!」が連続する舞台は、一歩間違えると軽いチャラチャラした雰囲気になりそうだが、衣装・舞・邦楽演奏など大阪松竹座ならではの重厚な歌舞伎の基本要素をたっぷり織り込んで舞台の迫力を保っているバランス感覚が見事だ。

 ロンドンから日本観光中でたまたま大阪松竹座の前を通りかかって入場し、2階席で見た英国人男性は「サーカスのようなエキサイティングで楽しい舞台だった。母国で劇場にはよく行くけれども、こんなのは見たことがない。友達にも見るように勧めます」と話していた。

 鳴り止まない拍手にカーテンコールで登場した愛之助は「今は新作ですが、百年たったら古典になります」と力強く話す。パンフレットの中にあった「ヌーヴェル上方歌舞伎」という言葉のヌーヴェルは「新しい」という意味だが、この公演はどこまで突き進むかわからない愛之助の、壱太郎の、歌舞伎の可能性を感じさせる舞台だった。

 二月花形歌舞伎の「昼の部」では、2002年に平成若衆歌舞伎・第1回公演としてシアター・ドラマシティで初演された「新八犬伝」が上演されている。

【フォトギャラリーはこちら】

【2011年11月の「GOEMON 石川五右衛門」公演評はこちら】

【2012年1月に行った片岡愛之助インタビューはこちら】

◆大阪松竹座 二月花形歌舞伎
《大阪公演》2013年2月2日(土)〜26日(火) 大阪松竹座
⇒詳しくは、大阪松竹座公演情報ページへ http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/schedule/2013/2/_1_22.php

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