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特集(5)新公主役の芹香、光るスターオーラ

2013年2月20日

写真:「オーシャンズ11」より「オーシャンズ11」より、ライナス役の芹香斗亜=撮影・廣江修

 ヘタレのライナスを演じるのは、新人公演での主役が決まった芹香さん。まだ粗削りながら、どこか可能性を感じさせるきらめきは、これがいわゆるスターオーラというのでしょうか。どんな男役に成長するのか、今後がますます楽しみになりました。

 金庫破り計画を話し合う中、あまりにヘタレすぎて乗り切れないライナスを、ラスティーが先導しながらみんなで励ましていく「JUMP!」は、今公演一番の盛り上がるシーンとなります。北翔さんの伸びやかな歌声が劇場をまるごと包み込み、仲間の絆を深めていく軽快でドラマチックなナンバーは、これぞミュージカルの醍醐味! ライナスだけじゃなく私たちも勇気づけられ、カタルシスを得られるこの名シーンを、ぜひ劇場で体感してみてください。

 そして1幕終わりがやっぱり洒落ていました。ダニーとラスティーが互いの名前を呼び合う男の友情にくすぐられ、これがファンのみなさんが言う「とむみち萌え」なのかと納得したり。そして11人が背を向けて去っていく…本当に粋な演出で心憎い。そして2幕は、本格的な金庫破りへと突入していきます。

 そうそう、クイーン・ダイアナを忘れてはいけません。ベネディクトの女神だと信じて疑わなかった自分の地位が、テスによって脅かされることで怒り爆発する怪女を、桜一花さんがパワー全開で演じています。ほかにも、ベネディクトに利用されるNPO団体のアン(初姫さあや)とハリー(夕霧らい)のウッズ夫妻は、安定感のある芝居心で舞台を引き締めていました。初姫さんは長く花組を支えてきた、可愛くて実力のある娘役さんですが、この公演で退団となるのがとても残念です。

 ベネディクトの用心棒ブルーザー役の天真みちるさんも両サイドの髪を刈り上げ、気合十分。コロコロした人の良さそうなルックスで、どこにいても見つけられる魅力的な男役さんなので、これは嬉しい活躍です。ゴージャスな歌で、ラスベガスの華やかな雰囲気を盛り上げる、マイク(大河凛)と3ジュエルズ(芽吹幸奈・菜那くらら・仙名彩世)の存在もこの公演には欠かせません。絶対に破れないという頑丈なセキュリティーをくぐりぬけるため、オーシャンズ11のスペシャリストはどんな仕掛けを繰り出すのでしょうか。にっくきベネディクトの鼻を明かすことは?

 そしてダニーは、ベネディクトから愛しい妻テスを奪い返せるのか。キザで強気で強引で、決して引くことのないダニーですが、本当は純粋な少年のようにテスのことを一途に想っています。そんなダニーの心がテスに伝わる時は…。

 クライマックスは客席も巻き込んでの大仕掛けなイリュージョンも登場、爽快なエンディングが待っています。蘭寿さんはとことんキザで、クサくて濃くて、このキャラを待っていた気持ちを存分に満たしてくれました。

 フィナーレは悪役から一転、望海さんが自慢の美声でラブソングを熱唱し、感動の余韻に胸震わせてくれます。若手男役がピチピチ弾けるダンス、さらに娘役も加わったアダルトな男役のナンバーはSHUNさんの振付で。豹柄衣装の蘭蘭デュエットは、切れ味鋭いダンサーカップルならではのダイナミックさを堪能、ショーもひたすらカッコよさの連続でした。

 今回の花組は全体的に大人っぽい雰囲気で、より映画に近いイメージかもしれません。星組に続く再演でも、そのカラーと魅力はまったく違って、新しい作品として楽しめそう。古典などに挟まれた現代の「オーシャンズ」。スタイリッシュでオシャレな世界をぜひ味わってみてください。

◆「オーシャンズ11」
《宝塚大劇場公演》2013年2月8日(金)〜3月11日(月)
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/316/index.shtml
《東京宝塚劇場公演》2013年3月29日(金)〜5月5日(日)
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/317/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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