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特集(3)ジャン・バルジャン役は一度断った

2013年2月22日

写真:ラミン・カリムルー撮影・廣江修

――「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役のきっかけは?

 「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」のときに、同じく「レ・ミゼラブル」の製作を手掛けているキャメロン・マッキントッシュさんが、稽古の時に「ジャン・バルジャンをやってくれないか」と声をかけてくれたからです。最初、私は「できない」と答えました。

――なぜ?

 ジャン・バルジャン役とはこれまで縁がないと思っていましたし、自分自身が演じるとは思いもよらなかったからです。ただ、マッキントッシュさんのことは尊敬していましたし、「ノー」とは言ったんですけど、彼に説得されて演じることになりました。

演じるにあたっては、「自分のベストを尽くすけど、うまくできなくても怒らないでね」と伝えました(笑)。今は、あの時説得してもらって、機会を得られたことを嬉しく思っています。「レ・ミゼラブル」は元々好きでしたが、さらにファンになりましたね。

――ラミンさんがジャン・バルジャン役を演じたのはいくつの時ですか?

 昨年、33歳の時です。

――ジャン・バルジャン役を演じるには比較的若い方?

 そうですね。ファントムの場合は、劇中で年齢について触れている場面がないので、若くてもいけるのですが、ジャン・バルジャンの場合は、作中すぐに「19年間(投獄され)…」と出てきます。何でもそうですが、ジャン・バルジャンを演じるにあたっては「真実」を演じる。そして、その物語における「関係性」を演じるということに神経を集中させているので、年齢は考えていません。年齢はメーキャップで何とかなるでしょうし、真実を演じることで、私のことを知らない人でも、ジャン・バルジャンを見てもらうことができます。そうすることで物語を感じていただきたいと思っています。

――「真実」を演じる。

 ジャン・バルジャンは「レ・ミゼラブル」の中で40歳ぐらいから死ぬまで、と年齢の幅が広いので、どの俳優が演じてもすべての年齢をカバーすることはできないですね。見た目はメイクがありますので、私ができるのはただ「真実」を演じることです。

――ジャン・バルジャン役にはどのようにアプローチされたのですか?

 演じるにあたってはまず、小説を読むことから始めました。原作は物語性が非常に豊かで、役者として必要なことがすべてこの一冊の中にあると気づきました。

――役者として必要なことが全部?

 そうです。たとえば絵を描く場合に必要な色がすべて、この本にはある。本を読んで、一つずつやってみる、私はそうやっていきたいタイプの人間ですので。まずは自分自身とジャン・バルジャンの間で、何か共通点はないかと模索しながら読んでいきました。その中で見いだしたのは、自分自身の運命と闘っているということです。ジャン・バルジャンは神や信仰に対して、もがき苦しんでいた。私はそこが理解できたのです。私自身も葛藤しながら生きてきましたので。ひとつ手がかりがつかめれば、あとはついてくる。そうやって役を膨らませていくのが好きですね。ジャン・バルジャン役は、これまで演じた中で最高の役でした。

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