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特集(3)「スターの卵」は誰だ?

2013年3月26日

 初めて文化祭を観て、とても面白かったのは、1〜3部で「輝いてる人」がそれぞれ違っていたことだ。当然ながら、1部は歌の得意な人がソロで聴かせまくるし、3部ではダンスの得意な人がセンターで踊りまくる。それぞれの場面で「私を見て!」といわんばかりに個性がキラキラ輝いている感じが、とても心地よかった。

 いっぽうで、とくに男役の人はまだまだ可愛らしくて微笑ましい。「男役」としては観ているこちらが気恥ずかしくなってしまうレベルである。やはり「男役10年」というのは本当だと改めて感じ、劇団のスタークラスの人たちの芸の力を思い知らされた。

 今回、文化祭に行くと言うと、誰もが言ったのが、「未来のスターの卵を見つけて来てね!」というひとことだった。そこで、私なりに気になった人を挙げておくと、まず第1部では、オペラ「リゴレット」の「慕わしき御名は」を原語で歌った上山恵美子さんに圧倒された。あとは、「風と共に去りぬ」の「さよならは夕映えの中で」を歌った横田絵里さんには、歌の上手さもさることながら、すでに男役としての風格が感じられたのには驚いた。ちなみに横田さんは、第2部のお芝居ではA組のフレデリク皇太子役だったようで、こちらが観られなかったのが悔やまれた(贅沢な話だが)。

 第2部のお芝居で個人的に好きだったのが、ハンス・アンデルセン役の大脇英恵さん。主要な役でも何でもないデンマーク民衆のひとりで、台詞の聞かせどころも1回しかないのだが、そこですかさず客席の笑いを誘い、チャーミングで芝居心のある人だなあという印象を受けた。

 第3部では、冒頭シーンのセンターやジプシーの場面の「プリマの女」を務めた伊藤瑞穂さんも良かったが、男役の横田碧さんのダイナミックな踊りにとにかく目を惹き付けられた。さて、ここで挙げた彼女たちが果たして入団後どんな風に成長していくのか? 私の「見る目」は当たっているのか? 楽しみに見守ることとしよう。

 だが、入団してからは、歌やダンスの実力に加えて、「人気」という魑魅魍魎な評価が待っている。今の時点では、これほどみんな個性的なのに、入団してからはこの個性が「スター性」という基準でならされ、見えにくくなってしまっている気がするのは少し残念だなと思った。

 このご縁のおかげで、私にとって99期生はひときわ思い入れの深い期になりそうだ。一人ひとりが入団後どの組に配属され、どんな風に育って行くのかが、きっとこれからも気になって仕方ないだろう。そして、機会があればまた来年も「文化祭」を観てみたいなあ、とも…。ああ、どうやら「育てゲー」の深みにまた一歩分け入ってしまったらしい。

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。1967年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。株式会社リクルートで海外ツアー販売サイトの立ち上げおよび運営に携わる。2000年に独立。小学校4年生のときに宝塚歌劇を初観劇し「宝塚に入りたい」と思うも、1日で挫折。社会人になって仕事に行き詰まっていたとき、宝塚と再会し、ファンサイトの運営などを熱心に行なう。宝塚の行く末をあたたかく見守り、男性を積極的に観劇に誘う「ヅカナビゲーター」。12年11月に「ヅカファン道」(東京堂出版)を出版。

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