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特集【公演評】モンテ・クリスト伯
クールな凰稀がほとばしらせる激しい感情

2013年3月27日

 宝塚宙組公演「モンテ・クリスト伯」が、3月15日、宝塚大劇場で初日を迎えました。これまで数多く映画化や舞台化されてきた、アレクサンドル=デュマ・ペールの名作小説「岩窟王」を、宝塚らしい演出でドラマチックに描きます。身に覚えのない罪で投獄された男エドモン・ダンテスが、やがてモンテ・クリスト伯となって、自分を陥れた者たちに立ち向かう復讐劇。トップスター凰稀かなめさんと実咲凛音さんがこの重厚な世界観に挑みます。(フリーライター・さかせがわ猫丸)

 公演ポスターの凰稀さんは、絶海の孤島にそびえる監獄をバックに、髭をたくわえた眼光鋭い紳士。夢を運ぶフェアリーなタカラジェンヌからは想像できない容貌なのに、それがかえってゾクゾクするほど美しくて、吸い込まれそうです。観る前から強烈なインパクトでしたが、実際の舞台もその美と迫力はそのままに、見ごたえのあるお芝居が展開します。

 19世紀初頭、船長への昇進が決まった若き航海士エドモン・ダンテスは、恋人メルセデスとの結婚式を挙げ、幸せの絶頂にあった。だが突然、ダンテスは身に覚えのない容疑で逮捕され、孤島の監獄に投じられてしまう。彼を陥れたのは、貴族のフェルナン(朝夏まなと)、ダンテスの同僚ダングラール(悠未ひろ)、そして検事補のヴィルフォール(蓮水ゆうや)の3人だった。監獄で絶望の日々を送っていたある日、同じく罪なくして捕らわれていたファリア司祭(寿つかさ)との出会いから希望の光を得たダンテスは、自分を騙した者たちへの復讐を誓い、それが彼の生きる目標と化していくのだった―。

 地獄の底から「復讐」だけを頼りに這い上がるエドモン・ダンテス。クールで淡々とした印象の凰稀さんが憎悪に身もだえし、激しく感情をほとばしらせる姿は圧巻で、トップスターとしての輝きと貫禄をますます感じさせてくれます。ダンテスの恋人メルセデスを演じる実咲さんは確かな実力で、包容力ある演技を披露。

 朝夏さん、悠未さん、蓮水さんの極悪トリオも迫力たっぷりです。3人の表情・しぐさ・セリフの一つひとつに、男役の醍醐味である「黒さ」がにじみ出て、こちらも日々進化しそう。憎しみに囚われたダンテスを根気よく諌め、支え続けるのが、寿さん演じるファリア司祭と、緒月遠麻さん演じるベルツッチオ。彼らの叫びは、人間なら誰しも持つ心の闇に通じるものがあるかもしれず、じわじわと突き刺さってくるのが印象的でした。

 この物語のテーマは「復讐」だけではなく「寛容」と「希望」です。重いだけのストーリーではなく、胸に染み入るような余韻と感動を残してくれる、いい意味での裏切りを感じさせる作品でした。

 懐かしい名作シーンがぎゅっとつまったショー「Amour de 99!! ―99年の愛―」と合わせて、喜怒哀楽の面白さが存分に味わえる3時間です。

【フォトギャラリーはこちら】

◆「モンテ・クリスト伯」
《宝塚大劇場公演》2013年3月15日(金)〜4月15日(月)
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/324/index.shtml
《東京宝塚劇場公演》2013年5月10日(金)〜6月9日(日)
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/325/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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