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特集【公演評】南太平洋
もはや芸術、ダンディーな轟悠

2013年4月2日

 宝塚星組公演のブロードウェイ・ミュージカル「南太平洋」が、3月19〜30日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演、4月5〜10日まで、東京・日本青年館大ホールで上演されます。1949年にブロードウェイで初演、トニー賞9部門を受賞したミュージカルの傑作で、宝塚では1984年に剣幸さん、春風ひとみさんのコンビで上演され好評を博しました。今回は待望の再演となり、専科の轟悠さんが大人の魅力たっぷりに演じます。(フリーライター・さかせがわ猫丸)

 第二次世界大戦のさなか、南太平洋に浮かぶ美しい島で、フランス人農園主エミール・ド・ベック(轟)とアメリカ人従軍看護婦ネリー・フォーブッシュ(妃海風)は出会って恋におちる。心躍らせる2人だったが、戦況は膠着し、海兵たちは自由のない生活にうんざりしている。

 そんなある日、本島の総司令部から海軍中尉のジョセフ・ケーブル(真風涼帆)がやってきた。彼の使命は敵軍が支配するマリー・ルイーズ島を偵察すること。だがその計画には、エミールの土地勘が必要だった。ジョージ・ブラケット大佐(一樹千尋)からエミールについて尋ねられたネリーは、彼について何も知らないことに気づき…。

 平和を愛する優しい紳士のエミールを演じるのは、もちろん轟さん。まぶしいばかりの白いスーツ姿が南国によく似合い、相変わらずギリシャ彫刻のようなマスクも精悍で、究極の男役を体現しています。今回、相手役に抜擢された妃海さんは若干研4で、轟さんとのその差なんと24期。でも恋人同士役の2人に違和感はほとんどありません。妃海さんは歌って踊って弾けてと、トップ娘役でもめったに見られないほどのボリュームで縦横無尽の大活躍を見せ、見事、抜擢にこたえていました。海軍中尉ケーブルの真風さんはブロンドの髪をきっちりまとめて、二枚目ぶりにも磨きがかかってきました。今回は切なさが伴う役柄ですが、成長著しい歌唱力で、轟さんとのデュエットも心に染み渡る名場面となっています。

 エミールとネリー、ケーブルと現地の娘リアット(綺咲愛里)、彼らの純粋な恋の前に横たわる人種問題が、この作品の大きなテーマになっています。愛する気持ちと、幼い頃から刷り込まれた偏見との間で揺れる様子がとても切ないのですが、島の陽気な若者たちは明るく、楽しいシーンもたくさんあり、それぞれの人物を情緒たっぷりに描いています。サウンドトラック盤も大ヒットしたというナンバーの数々は名曲揃いで、1シーンごとに大拍手が巻き起こる迫力は、さすがブロードウェイ・ミュージカル。切なさの中にも優しさはたくさんあって、さりげないラストシーンは一枚の絵のようで、いつまでも余韻が残りました。

 全編、ポリネシアの空気にゆったりと包まれて、観終わったあとは、本当に南国に滞在していた気分に…。轟さんの静かな男のダンディズムをじっくりと味わいながら、一緒に南太平洋へ旅してみませんか?

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◆「南太平洋」
《大阪公演》2013年3月19日(火)〜30日(土) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※公演は終了しています
《東京公演》2013年4月5日(金)〜10日(水) 日本青年館大ホール
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/320/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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