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特集(5)可憐な綺咲、夢中になるのも納得

2013年4月2日

写真:「南太平洋」より「南太平洋」より、ジョセフ・ケーブル役の真風涼帆(写真左)とリアット役の綺咲愛里(右)=撮影・廣江修

 ―ケーブルにもまた、思いもよらない出会いがあった。バリ・ハイ島の祭りに出かけたケーブルは、そこでブラッディ・メリーの娘リアット(綺咲)を紹介され、言葉も通じない中、たちまち恋に落ちてしまったのだ。綺咲さん演じるリアットは英語ができないため、ケーブルとのコミュニケーションは主に表情や手や体の動きなどで語られることになります。やわらかな仕草がなんともいえず、ケーブルが夢中になってしまうのも納得の可憐さです。

 燃え上がるケーブルに、ネリーは結婚を促すが、それは出来ないと断ってしまう。心から愛した人と結ばれない…。運命的に出会ったリアットとの恋に酔うケーブルが、ブラッディ・メリーの願いで現実に引き戻され、冷水を浴びせられたようになりましたが、奇しくもそれはエミールとネリーのカップルが抱える苦悩と同じものでした。

 どんなに愛していても、幼い頃から刷り込まれた偏見からは逃れることができないという人種差別の壁は、幸せだった2組のカップルを一気に地獄に突き落としたのです。シビアなテーマだけに、彼らがこの障害を乗り越えて行く過程には、胸打たれました。そして迎えた2つの恋の結末は…?

 名曲ぞろいのナンバーは場面ごとに見ごたえがありますし、セリフにも無駄がなく、ストーリーが気持ちよく入ってくるのは、さすが名作。ブロードウェイ・ミュージカルの底力を見せてもらった気がします。轟さんの完成されたダンディズムと、若き実力派娘役スターの誕生、そして胸打たれるストーリーと名曲の数々に、とことん酔いしれた作品でした。

 ドラマシティの空間には、ポリネシアの風が絶えず吹き抜けていていました。南太平洋にまるごと包み込まれたような、そんな不思議な余韻が今も心に残っています。

◆「南太平洋」
《大阪公演》2013年3月19日(火)〜30日(土) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※公演は終了しています
《東京公演》2013年4月5日(金)〜10日(水) 日本青年館大ホール
⇒詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ http://kageki.hankyu.co.jp/revue/320/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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