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特集(2)柚希演じる台湾のヒーローは?

2013年4月26日

写真:台北国家戯劇院で「怪盗楚留香外伝―花盗人」のリハーサルをする宝塚歌劇団星組台北国家戯劇院で「怪盗楚留香外伝―花盗人」のリハーサルをする宝塚歌劇団星組=撮影・竹花徹朗

 中国語での柚希礼音の開演アナウンスの後、いよいよ第1部の「宝塚ジャポニズム」(台湾風の表記だと「宝塚日本風」)が始まった。日本での講演で場数を重ねたことで、日本物ショーの舞台としての安定感は出て来たように感じたが、「日本風」=「さくら」と「荒城の月」というチョイスに一抹の淋しさを禁じ得ない。いやもちろん、どちらも日本人が親しんで来た歌ではあると思うのだが…。今後、海外への本格進出をするのであれば「日本風」コンテンツは必須だろうから、出演者の経験値とスキルを上げる対策が急務だと改めて思う。

 続く「怪盗楚留香(そりゅうこう)外伝 ―花盗人(はなぬすびと)―」は、台湾の人気小説を舞台化した作品だ。柚希礼音演じる「楚留香」は「台湾のアルセーヌ・ルパン」と称される人気キャラクターらしい。今回の舞台では、その楚留香がお宝を狙って盗みに入ろうとした家の息子(紅ゆずる)が敵対する家の娘(夢咲ねね)と恋仲にあり、さながら「ロミオとジュリエット」ばりの騒動の真っ最中。それを楚留香が粋な計らいで見事解決するという展開だった。

 私はこの第2部のみ台湾公演で初めて観たが、「なるほど、これが台湾で人気の楚留香様か!」などと新鮮に楽しめた。が、隣りに座っていた熱心なファンの女性たちの感想は、「台湾の私たちが見ると、やっぱり違和感を感じる部分がある。せっかくなら『これぞタカラヅカ!』というものを持って来て欲しかった」というもの。でも、その後で「台湾の私たちに合わせた作品をわざわざ持って来てくれるのが、日本の方らしい優しさだと思う」と付け加えていたのが興味深かった。

 客席の反応は総じて温かく、「台湾の人気者の話」を懸命に演じているタカラジェンヌたちを微笑ましく見守りつつ、楽しんでくれている風だった。私が観た回、こともあろうに2部の冒頭で字幕表示のトラブルが起こってしまったらしく、お芝居が始まってしばらく字幕がまったく表示されなかったのにはヒヤヒヤさせられた。が、再びきちんと字幕が表示されるようになってからは、そこここで笑いも絶えなかった。

 海外の人が日本の文化を取り上げるとき、もちろん違和感を感じることもあるが、逆に「外から見た日本」という視点の斬新さゆえの面白さを感じることだってある。基本的には、その国の文化へのリスペクトさえあれば間違うことはないのだろうが、今後は海外公演向けの作品づくりにおける「その国の人にも受け入れられるタカラヅカ風アレンジ」の腕が磨かれていく必要があるのかもしれない。

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