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特集(3)鳳月、適度な色気をにじませるのが憎い

2013年5月10日

写真:「月雲の皇子 ―衣通姫伝説より―」より「月雲の皇子 ―衣通姫伝説より―」より、穴穂皇子役の鳳月杏=撮影・岸隆子

 ―いよいよ允恭天皇の病が重篤となり、皇位の継承が検討され始めた。心優しい木梨軽皇子なら、人々は安んじることができる。武に優れた穴穂皇子なら、国を強くすることができる。どちらがふさわしいのか天の声にゆだねようと、穴穂に雨乞いの儀式を行わせたがうまくいかず、人柱にされかけた土蜘蛛の子を救った木梨が結果的に雨を降らせてしまう。複雑な思いを抱く穴穂は、兄に対し次第に苛立ちを募らせていた。そんな彼のもと、ある日、身狭村主青がしのびより、思いもよらぬ真実を告げる――。

 珠城さんの木梨は、その優しさが全身からにじみ出ているよう。おおらかな立ち居振る舞いと、癒されるような笑みで人々を包み、それらの演技はおおげさではなく、とても自然です。鳳月さんの穴穂はとにかく強くて凛々しい。兄に対しての尊敬や嫉妬、もどかしさなど複雑な感情をもてあます表現も細やかで、適度な色気もにじませるのが憎い。対照的であればあるほど双方の魅力が際立つ、まさに理想的なトップと2番手のキャラクターです。時にはケンカもし、互いに刺激しながら、助け合い、高め合ってきた仲のいい兄弟。でも残酷な時の流れは、やがて彼らの歯車を狂わせていくのでした。

 土蜘蛛に侵略される危機感から、穴穂は木梨が救った土蜘蛛の少年を問答無用に射抜き、兄の優しさは弱さだと真っ向から否定。衝撃を受け、やりきれない思いに苦悩する木梨は、衣通姫のもとを訪れ、抑えきれずほんのわずかだけ、自分をさらけ出してしまいます。禁じられていてもあふれだす想い…微妙な感情の揺れ動きと美しさを損なわない表現は胸をきゅーっと突いてきて、こんなところにも女性演出家ならではの細やかさを感じました。

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