マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集(1)東日本大震災と「キフシャム国の冒険」

2013年5月21日

写真:伊礼彼方撮影・岩瀬春美

――2012年の「リンダ リンダ」に続き、鴻上尚史さん作・演出の舞台「キフシャム国の冒険」に出演されます。今回の作品は、タイトルからしてファンタジックな印象ですが、どのようなお話でしょうか?

 あらすじを言いますと、王子のいる国が闇に襲われます。その国の闇を解く呪文があるのですが、それは王様しか知らない。王様は王子に呪文を教える前に亡くなってしまったので、王子は王様に会うために冥界へと旅立ちます。そこにいろんな壁があって、障害物を乗り越えて、王子が成長していくという分かりやすい作品です。

――しかし、扱っているテーマは重いようですね。

 たぶん作品を観ても、東日本大震災の話とはわかりません。一見、震災とはかけ離れているように見えますが、その中に大事なテーマが織り込まれています。

 この作品を通して鴻上さんは、東日本大震災で大切な人を亡くした人たちを慰められたらとおっしゃっています。慰めるのも難しいのであれば、せめて少し、肩の荷を下ろして、休んでもらえる場が作れないかということで、「キフシャム国の冒険」が生まれたそうです。そこがテーマですが、作品自体は全然重たくないんですよ。

――重く見えない物語に仕立てている?

 たとえば「みんな生き抜こうよ」というテーマをそのまま伝えてしまうと、「いや、分かってるんだけど…」と見る人もしんどくなってくるじゃないですか。最近起きた出来事ですので…。物語では主婦やキャラクターたちが冒険をする中で、残された人間が生きていく大切さや、過去を忘れるなということを、コメディタッチで描いています。

――伊礼さんは今回、どのような役を演じられますか?

 今回は3役やります。一つめがKis−My−Ft2の宮田(俊哉)くん演じる主人公の王子がキフシャム国の王になるのを阻もうとする役で、一見悪役っぽいキャラクター。もう一つは、冥界の見張り番。あとは現実の世界で、高岡(早紀)さん演じる主婦の夫役。その三つの役が劇中にちりばめられます。

――3役を演じ分けるのに、気をつけている点などはありますか?

 悪役っぽい役に関しては、作品のテーマに気を遣うことはないです。僕たちが気を遣っていたら、観ている人は迷ってしまいますので。たとえばせりふで「亡くなって当たり前なんだ、そんなものは」と堂々と言える精神を稽古で作っていく。観てくださる方が、そういう人間の考え方が間違っていると思ってくれれば、それが正しい意見になる。もしかして同意する人もいるかもしれませんが、それはその人の真実。僕は役を通して、観てくださる人たちの気持ちを引き出すのが、今回のテーマです。

 見張り番の役では、技術的なものを稽古場で求められています。役作りそのものというよりは、王子たちが旅をしていく上での、障害物になれればそれでいいので。この障害物を乗り越えなければ、前に進めないという壁の役割になります。

 今回の三つの役は、観客に何かを投げかけることもあれば、批判する役もあるし、言葉では説明できない役もあります。

――面白そうですね。

 面白いですよ。大高(洋夫)さんも3役あります。宮田くんも2役。全体的にはコメディタッチの作品ですが、最後にはすごく深いものが残ると思います。

続きを読む

戻る

バックナンバー

宝塚歌劇一覧へ>> 舞台一般一覧へ>> 動画掲載記事一覧へ>> 過去記事一覧へ>>

過去記事一覧へ>>

ページトップへ戻る

Astandについて個人情報著作権利用規約特定商取引会社案内お問い合わせ